薬剤師国家試験 第97回 問166 過去問解説

 問 題     

薬物吸収に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 鼻粘膜は、全身作用を目的としたペプチド性薬物の投与部位として利用されている。
  2. 吸入されたステロイドは、その大部分が全身循環血に吸収され治療効果を示す。
  3. ニトログリセリンの経皮吸収型製剤は、胸の近傍に貼付しなければならない。
  4. ウィテプゾールを基剤とする坐剤は、体温で基剤が融解し主薬が吸収される。

 

 

 

 

 

正解.1, 4

 解 説     

鼻粘膜は、全身作用を目的としたペプチド性薬物の投与部位として利用されています。代表例は、デスモプレシン点鼻液です。デスモプレシンはバソプレシンの誘導体で、9つのアミノ酸からなるペプチドです。そのため、経口投与では、分解されてしまいます。中枢性尿崩症や、夜尿症の治療に用いられます。

吸入されたステロイドは、気道や肺において局所作用を示します。量がとても少ない上に、気道や肺粘膜から吸収されにくく、全身作用はほとんど見られません。よって、大部分が全身循環血に吸収され治療効果を示すわけではないので選択肢 2 は誤りです。

ニトログリセリンの経皮吸収型製剤は、胸、腰、腕などに貼って使用します。新しい薬に貼り替える時に、皮膚のかぶれなどを避けるために、貼っていた所とは異なる場所に貼るよう、指導が必要な薬です。よって、胸の近傍に貼付しなければならないわけではないので選択肢 3 は誤りです。

ウィテブゾールは、坐剤の基剤の1つです。疎水性基剤に分類されます。体温で溶解し、薬物が放出されます。

以上より、正解は 1,4 です。

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