薬剤師国家試験 第104回 問302-303 過去問解説

 問 題     

病院の薬事委員を務める薬剤師が、新規に薬価収載された抗がん剤Xの資料を作成するために、転移性乳癌患者を対象とした治験に関する情報を収集した。

問302

治験で得られた臨床成績を確認するための資料として適しているのはどれか。2つ選べ。

  1. 医療用医薬品品質情報集(オレンジブック)
  2. 医薬品インタビューフォーム
  3. 審査報告書
  4. 医薬品安全対策情報(Drug Safety Update;DSU)
  5. 日本薬局方

問303

この薬剤師は、前問の資料から、転移性乳癌患者を対象として新規抗がん剤Xと既存薬の奏効割合を比較した下表の結果を得た。この解析に用いられた統計手法として適切なのはどれか。1つ選べ。

  1. 対応のあるt検定
  2. 対応のないt検定
  3. カイ二乗検定
  4. 分散分析
  5. Mann-WhitneyのU検定

 

 

 

 

 

正解.
問302:2, 3
問303:3

 解 説     

問302

選択肢 1 ですが
医療用医薬品品質情報集(オレンジブック)は、ジェネリック医薬品と先発医薬品の同等性の判定結果を掲載した公文書です。抗がん剤 X は新規であり、不適切と考えられます。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2,3 は妥当な記述です。

選択肢 4 ですが
医薬品安全対策情報(Drug Safety Update:DSU)は、医療用医薬品添付文書の使用上の注意の改訂情報が記載されています。臨床成績についての資料としては不適切です。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
日本薬局方は、医薬品に関する品質規格書です。臨床成績については記載されていません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、問302 の正解は 2,3 です。

問303

選択肢 1,2 ですが、t 検定は「統計量」(平均、分散 等)に対して用いる検定です。よって、選択肢 1,2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当な記述です。

選択肢 4 ですが
分散分析は、3群以上の平均値に対する検定です。本問は 抗がん剤 X による奏功割合と、既存薬の奏功割合の比較です。よって、選択肢 4 は誤りです。
※どの2群に違いがあるかはわからないため、この後さらに分析が普通必要。

選択肢 5 ですが
マン・ホイットニーの U 検定は、ウィルコクソンの順位和検定と同じ検定のことです。「中央値」に対する検定です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、問303 の正解は 3 です。
類題 99-67,101-195,102-188

コメント