問 題
76 歳女性。身長 153 cm、体重 42 kg。在宅医療を受けていたが転倒し、大腿骨近位部骨折のため整形外科にて入院加療となった。
後日、仙骨部に褥瘡が認められたため、褥瘡対策チームが介入することとなった。
褥瘡患部は、感染の可能性のある黄色壊死組織を形成していたため(黄色期)、処方 1 の薬剤で治療が開始された。
| カデックス軟膏 0.9 %(注) 100 g | 1 回適量 |
| 1 日 2 回 朝夕 患部に塗布 |
注:カデキソマー 150、マクロゴール 400、マクロゴール 4,000 を基剤とし、 1 g 中にヨウ素 9 mg を含有する。
2 週間後、褥瘡対策チームの回診の際、医師が褥瘡の診察を行い、処方 1 の薬剤から処方 2 の薬剤へ変更となった。
| トレチノイントコフェリル軟膏 0.25 % 30 g | 1 回適量 |
| 1 日 2 回 朝夕 患部に塗布 |
問302
この患者への薬物治療について、整形外科病棟の症例検討カンファレンスで研修医や医療スタッフ向けに発表して欲しいと褥瘡対策チームの薬剤師へ依頼があった。
薬剤師の発表内容として、適切なのはどれか。 2 つ選べ。
- 処方 1 の基剤は水溶性であるため、滲出液が多い患部に適していること。
- 処方 1 の薬剤の効果が不十分であったため、処方 2 の薬剤へ変更となったこと。
- 処方 1 及び 2 の薬剤の塗布後は、安静のために一定の体位を保ってもらうこと。
- 処方 2 の薬剤は使用部位の疼痛、出血をみることがあるため、壊死組織除去後は使用を中止すること。
- 処方 2 の薬剤には細胞増殖促進作用があり、肉芽形成を促すために使用していること。
問303
処方 2 を開始した 10 日後、褥瘡は滲出液の少ない白色期に移行した。この時期の病態及び治療について適切なのはどれか。 2 つ選べ。
- 皮膚の上皮化が進み、肉芽組織が収縮している。
- 症状が改善すると、黒色期に移行する。
- 薬物治療として、積極的に壊死組織を除去する薬剤を使用する。
- 軟膏の基剤として、乳剤性基剤又は油脂性基剤が適している。
- 外科的手術として、デブリードマンが推奨される。
問302:1, 5
問303:1, 4
解 説
問302
選択肢 1 は妥当です。
処方 1 の基材はマクロゴール等であるため、水溶性です。吸湿性が高く、滲出液が多い患部に適しています。
選択肢 2 ですが
処方 1 で黄色壊死組織の除去が進み、改善したため、処方 2 に変更になったと考えられます。「処方 1 の薬剤の効果が不十分であったため」ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
薬剤の塗布後、定期的な体位変換を行う必要があります。「安静のために一定の体位を保ってもらう」わけではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
処方 2 のトレチノイントコフェリル軟膏は、保湿しつつ上皮再生を促します。壊死組織を除去した後の肉芽形成を促進する時期に使用します。「壊死組織除去後は使用を中止」ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
トレチノイントコフェリル軟膏についての記述です。
以上より、問 302 の正解は 1,5 です。
問303
選択肢 1 は妥当です。
白色期についての記述です。
選択肢 2 ですが
黒色期や黄色期は、白色期から症状が悪化した際に移行する時期です。白色期から「症状が改善すると、黒色期に移行」ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
白色期は壊死組織がありません。創部の乾燥を防ぎ上皮化を保護・促進する薬剤や被覆材を使用します。 「積極的に壊死組織を除去する薬剤を使用する」のは不適切です。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
滲出液が少ない白色期には、創部を保護し保湿できる乳剤性基剤や油脂性基剤が適します。
選択肢 5 ですが
デブリードマン (外科的切除) は、黒色期や黄色期の壊死組織を除去する際に行われます。白色期には行いません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 303 の正解は 1,4 です。
参考 褥瘡の治癒過程 102-218219 問題文より

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