問 題
過敏性腸症候群治療薬に関する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- ポリカルボフィルカルシウムは、胃内の酸性条件下でカルシウムを脱離し、腸管腔内において膨潤・ゲル化することで、水分バランスを調節する。
- ラモセトロンは、求心性神経終末に存在するセロトニン 5 – HT3 受容体を遮断することで、大腸痛覚の伝達を抑制する。
- メペンゾラートは、副交感神経のセロトニン 5 – HT4 受容体を刺激し、アセチルコリン遊離を促進することで、腸運動を亢進する。
- トリメブチンは、消化管運動亢進時には、アドレナリン作動性神経のオピオイド μ 受容体を刺激することで、腸運動を抑制する。
- リナクロチドは、胆汁酸トランスポーターを阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制することで、腸管内に水分及び電解質を分泌させる。
解 説
選択肢 1 は妥当です。
ポリカルボフィルカルシウムについての記述です。胃内でカルシウム脱離、腸管腔内で水分バランス調節という点をおさえておきましょう。
選択肢 2 は妥当です。
5 - HT3 受容体遮断薬であるラモセトロンについての記述です。
選択肢 3 ですが
メペンゾラートは、アセチルコリン M3 受容体遮断により、消化管平滑筋の痙れん性収縮を抑制します。「5 – HT4 受容体を刺激」ではありません。また、「腸運動を亢進」ではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
トリメブチンは、消化管運動調律剤です。運動亢進状態にある腸管では、副交感神経終末にあるオピオイド μ 及び κ 受容体に作用し、アセチルコリン遊離抑制を介して消化管運動を抑制します。「アドレナリン作動性神経」ではありません。
また、運動抑制状態にある腸管では、交感神経終末にある μ 受容体に作用して、ノルアドレナリン遊離を抑制します。その結果、副交感神経終末からのアセチルコリン遊離が増加し、消化管運動を亢進します。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
リナクロチドは、グアニル酸シクラーゼ C 受容体を活性化し、サイクリック GMP (cGMP) 濃度を増加させることで、腸管分泌及び腸管運動を促進します。「胆汁酸トランスポータ阻害」ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,2 です。
類題 101-160
https://yaku-tik.com/yakugaku/101-160/
類題 100-159
https://yaku-tik.com/yakugaku/100-159/

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