問 題
70 歳男性。自宅にて、39 ℃の発熱及び全身倦怠感を認め、同日中に呼吸困難となったため、家族が救急搬送を依頼した。
救急病院に到着後、インフルエンザウイルスの迅速抗原検出キットにて検査したところ、B 型陽性であり、インフルエンザウイルス感染症と診断された。なお、インフルエンザワクチンは未接種だった。また、本人からは高熱による頭痛の訴えがあった。
救命救急センター担当医師と薬剤師は、治療方針について、カンファレンスを実施した。
問228
この患者への対応について、薬剤師が提案する内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- レボフロキサシン水和物錠の投与
- インフルエンザワクチンの接種
- アセトアミノフェン静注液の投与
- ペラミビル水和物注射液の投与
- アマンタジン塩酸塩錠の投与
問229
この患者の家族から、今後のインフルエンザワクチン接種について薬剤師に質問があった。次の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- この患者が予防接種を受ける場合、インフルエンザは予防接種法における A 類疾病に分類される。
- この患者に対するインフルエンザワクチンの接種にかかる費用は、公的補助の対象とはならない。
- インフルエンザワクチンの接種においては、鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーがある場合には注意が必要である。
- インフルエンザワクチンの接種後、この患者に健康被害が生じた場合は、予防接種法に基づいた予防接種健康被害救済制度により救済措置を受けることができる。
- インフルエンザワクチンは弱毒化ワクチンなので、ワクチン接種によりインフルエンザを発症することがある。
正解.
問228:3, 4
問229:3, 4
解 説
問228
選択肢 1 ですが
レボフロキサシンは、ニューキノロン系抗菌薬です。DNA ジャイレースを阻害することにより、抗菌作用を示します。ウイルス感染症には用いません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
感染してからワクチン接種は、意味がありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
高熱による頭痛の訴えに対する対症療法としての提案です。
選択肢 4 は妥当です。
ペラミビル(ラピアクタ)は、抗 A,B 型インフルエンザウイルス薬です。(104-235 選択肢 4)。
選択肢 5 ですが
アマンタジンは、ドパミン放出を促進することで作用しパーキンソン病の症状改善に用いられます。又、A型インフルエンザ治療薬としても用いられます。(106-30)。本症例では、B 型陽性と検査結果が出ており、不適切です。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 228 の正解は 3,4 です。
問229
選択肢 1 ですが
予防接種の定期接種対象疾病は、A 類と B 類に分けられます。A 類は、主に集団予防が目的です。B 類は、主に個人予防が目的です。B類とは、本試験時において具体的には、インフルエンザワクチンと高齢者に対する肺炎球菌ワクチンです。(103-128)。A 類ではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
65 歳以上なので、公的補助対象となります。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3,4 は妥当です。
(101-220 選択肢 4)。
選択肢 5 ですが
インフルエンザワクチンは、不活化ワクチンの一種です。弱毒化ワクチン(生ワクチン)ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 229 の正解は 3,4 です。
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