問 題
催眠薬の作用機序について、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ベンゾジアゼピン系薬は、GABAによるGABAA受容体の活性化を増強する。
- ゾピクロンは、オレキシン受容体を選択的に遮断する。
- ラメルテオンは、メラトニン受容体を選択的に刺激する。
- エチゾラムは、ヒスタミンH1受容体を選択的に遮断する。
- バルビツール酸系薬は、GABAA受容体のGABA結合部位に結合し、Cl–チャネルを開口する。
解 説
選択肢 1 は、正しい選択肢です。
GABA は、γ-アミノ酪酸です。抑制性神経伝達物質です。GABA の受容体として、GABAA とGABAB が知られています。GABAA は、Cl- のイオンチャネル型受容体です。GABAB は、Gタンパク質共役受容体です。
ベンゾジアゼピン系薬は GABAA に結合します。その結果、GABA が結合した時の GABAA の活性化を促進します。
選択肢 2 ですが
ゾピクロン(アモバン)は、非 Bz 系ですが作用機序は Bz 系と同様に、GABA 受容体に結合することによる受容体の活性化促進です。オレキシン受容体を選択的に遮断するわけでは、ありません。
ちなみに、オレキシンは「食欲」を意味する「orexis」から名付けられた、神経ペプチドです。脳を覚醒させる物質です。受容体としてオレキシンA、Bが知られています。オレキシン受容体拮抗薬としてスボレキサント(ベルソムラ)が比較的新しく認可された新機序睡眠薬として、知られています。
選択肢 3 は、正しい選択肢です。
メラトニンは、トリプトファンからセロトニンを経て生合成されるホルモンの一つです。脳の松果腺から分泌され睡眠ホルモンと呼ばれます。ラメルテオン(ロゼレム)は、メラトニン MT1/MT2 受容体を刺激することで作用が発現します。
選択肢 4 ですが
エチゾラム(デパス)は、Bz 系抗不安薬です。GABA 受容体に作用します。作用機序はヒスタミン受容体遮断では、ありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
バルビツール酸系薬は、GABAA 受容体において GABA 結合部位ではなくバルビツール酸誘導体結合部位に結合します。その結果、Cl- イオンの流入を促進します。GABA 結合部位に結合するわけではないため選択肢 5 は、誤りです。
以上より、正解は 1,3 です。
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