薬剤師国家試験 第101回 問156 過去問解説

 問 題     

神経障害性疼痛(糖尿病性神経障害に伴う痛みなど)の治療薬には、一次知覚神経に発現するイオンチャネルに作用するものがある。その作用機序として正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 電位依存性Ca2+チャネルを遮断し、神経伝達物質の遊離を抑制する。
  2. 電位依存性K+チャネルを遮断し、神経伝達物質の遊離を抑制する。
  3. ATP感受性K+チャネルを遮断し、神経伝達物質の遊離を抑制する。
  4. 電位依存性Clチャネルを遮断し、神経の興奮を抑制する。
  5. 電位依存性Na+チャネルを遮断し、神経の興奮を抑制する。

 

 

 

 

 

正解.1, 5

 解 説     

選択肢 1 は、正しい選択肢です。
神経障害性疼痛の代表的治療薬として、プレガバリン(リリカ)があります。プレガバリンはCa2+ チャネルを遮断することで神経伝達物質の遊離を抑制します。

選択肢 2,3 ですが
電位依存性や、ATP感受性の K+ チャネルが遮断されると、細胞膜の外側へ K+ イオンを送るチャネルが抑制されることになります。

すると、細胞外へ陽イオンを排出することが抑制されることになります。そうすると細胞膜内外の電位差が小さくなるため、わずかのイオンの流入により興奮がおきると考えられます。いいかえると、K+ チャネルの遮断により神経細胞は、興奮しやすくなるといえます。その結果、神経伝達物質の遊離は促進されると考えられます。従って、選択肢 2,3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
Clチャネルが遮断されると神経の興奮は、促進されます。従って、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は、正しい選択肢です。
Na+ チャネルが遮断されれば、神経の興奮は抑制されます。

以上より、正解は 1,5 です。

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