問 題
心不全治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- メチルジゴキシンは、Na+,K+– ATPase を阻害して、心筋細胞内 Ca2+ 濃度を上昇させて陽性変力作用を示す。
- リシノプリルは、アンジオテンシンⅡの分解を阻害して、心筋のリモデリングを抑制する。
- コルホルシンダロパートは、サイクリックAMP (cAMP) 誘導体で、細胞内で cAMP に変換されて心筋収縮力を増強する。
- ピモベンダンは、トロポニン C の Ca2+ 感受性を増大させるとともに、ホスホジエステラーゼⅢを阻害して、強心作用を示す。
- カルペリチドは、グアニル酸シクラーゼ内蔵型受容体を遮断して、心臓の前負荷及び後負荷を軽減させる。
正解.1, 4
解 説
選択肢 1 は妥当です。
メチルジゴキシンはジギタリス製剤です。Na+,K+-ATPase を阻害することにより作用する、強心薬の一種です。(100-30)。
選択肢 2 ですが
リシノプリルは ACE 阻害剤です。アンギオテンシンⅡの「生成」を阻害します。「分解を阻害」ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
コルホルシンダロパートは、アデニル酸シクラーゼ(AC)活性化薬です。(100-30)。細胞内で cAMP に変換されるわけではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
ピモベンダンは、心筋のトロポニンの Ca2+ 感受性を高めて、強心作用を示します。(100-30)。
選択肢 5 ですが
カルペリチドは、心房性ナトリウム利尿ペプチド製剤です。心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP:atrial natriuretic peptide)は、血管拡張及び利尿作用を持ちます。カルペリチドは遺伝子組換え ANP 製剤です。血管及び腎臓における ANP 受容体に作用して膜結合型グアニル酸シクラーゼを活性化します。その結果細胞内 「cGMP」 が増加し血管拡張、利尿作用が引き起こされます。(103-34)。「グアニル酸シクラーゼ内蔵型受容体遮断」ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,4 です。
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