薬剤師国家試験 第106回 問155 過去問解説

 問 題     

脳血管障害とその後遺症の治療に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. バクロフェンは、γ – アミノ酪酸 GABAA 受容体を刺激することで、脳血管障害に伴う筋痙縮を抑制する。
  2. ファスジルは、Rho キナーゼを阻害してミオシン軽鎖の脱リン酸化を阻害することで、くも膜下出血術後の脳血管れん縮を抑制する。
  3. オザグレルは、プロスタノイド TP 受容体を遮断することで、脳血流量の低下を抑制する。
  4. イフェンプロジルは、アドレナリン α 受容体を刺激することで、脳梗塞後遺症に伴うめまいを改善する。
  5. エダラボンは、フリーラジカルを消去して脂質過酸化を抑制することで、脳梗塞急性期において脳保護作用を示す。

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

選択肢 1 ですが
バクロフェンは、GABA誘導体で、GABAB 受容体に作用する中枢性筋弛緩薬です。(105-30)。GABAA 受容体刺激薬ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
ファスジル(エリル)は Rho キナーゼ阻害剤です。くも膜下出血後の、脳虚血症状の改善を目的に使用されます。(105-33)。キナーゼとはリン酸化酵素なので、阻害するのは「リン酸化」です。「脱リン酸化を阻害」するわけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
オザグレルは、トロンボキサン(TX:thromboxane)合成酵素阻害薬です。(104-38)。プロスタノイド TP 受容体遮断薬ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
イフェンプロジル(セロクラール)は、α 受容体「遮断薬」です。α 受容体を「刺激」するわけではありません。脳梗塞後遺症(や、それに伴うめまい)に用いる薬です。(99-258259)。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
脳梗塞時におけるフリーラジカル消去による脳保護作用ときたら、エダラボンです。(101-29)。

以上より、正解は 5 です。

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