薬剤師国家試験 第106回 問8 過去問解説

 問 題     

日本薬局方酒石酸(A)及びその鏡像異性体Bに関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。なお、Aの水溶液(1→10)は右旋性である。

  1. Aは(+)-酒石酸である。
  2. AとBの融点は同じである。
  3. AとBの等量混合物はラセミ体である。
  4. AとBの比旋光度の絶対値は同じである。
  5. A及びB以外に立体異性体が2つ存在する。

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
問題文に「A の水溶液は右旋性」とあります。そのため (+) となります。知識として知らなければ判断できません。本番では飛ばしても、他の選択肢の正誤を判断できれば大丈夫です。

選択肢 2 は妥当です。
鏡像異性体であれば、物理的性質は同じです。

選択肢 3 は妥当です。
鏡像異性体の等量混合物がラセミ体です。

選択肢 4 は妥当です。
鏡像異性体の比旋光度は、符号が逆になります。従って、絶対値は同じです。

選択肢 5 は妥当ではありません。
A の不斉炭素は (R,R) です。B は(S,S) です。そして、(R,S)と(S,R) という組み合わせで2つあるように感じるかもしれませんが、対称面を有するためメソ体です。つまり、A,B 以外に立体異性体は1つです。2つではありません。

選択肢 2 ~ 5 の正誤を確実に判断して正解したい問題です。

以上より、正解は 5 です。

参考 有機化学まとめ ラセミ体とメソ化合物 

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