問 題
68歳男性。2週間前から労作時呼吸困難が出現し、増悪傾向のため医療機関を受診した。心房細動、左室駆出率(LVEF)の低下した心不全と診断され、酸素投与も必要なため入院加療となった。その後、軽快し、以下の処方で治療されている。
身体所見・検査値
心エコー心嚢液なし、右心不全所見なし、LVEF 45%、CCr 23mL/min、ヘマトクリット値 32.9%、血清アルブミン 3.3g/dL、血清クレアチニン 2.25mg/dL、Na 139mq/L、K 4.4mq/L、BNP 452.7pg/mL、心拍数 120回/分、血圧 150/90mmHg
上記の検査値を確認し、心拍数の調節が不十分なため、心拍数の調節を目的として薬剤Ａが追加された。
問216
薬剤Ａとして最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- フロセミド錠
- トルバプタン錠
- アミオダロン塩酸塩錠
- シベンゾリンコハク酸塩錠
- ソタロール塩酸塩錠
問217
下図は薬剤Ａの投与前と投与後の心電図(Ⅱ誘導)を示している。この変化が起こる理由として適切なのはどれか。2つ選べ。
- 心室筋細胞からのNa＋流出の直接的抑制
- 心室筋細胞からのK＋流出の直接的抑制
- 心室筋細胞の活動電位持続時間の延長
- 洞房結節の脱分極の直接的促進
- 不応期の短縮
正解．
問216：3
問217：2, 3
解 説
問216
問 217 と合わせて解説します。
問217
問 216 の
選択肢 1,2 ですが
フロセミド、トルバプタンはそれぞれ抗不整脈薬ではありません。心拍数の調節を目的とした薬剤としては不適切と考えられます。
選択肢 3,5 ですが
アミオダロン、ソタロールは共にクラス III 群の抗不整脈薬です。「K+チャネルを遮断」します。その結果、心室活動電位持続時間延長により頻脈が改善されます。腎機能低下患者なのでアミオダロンが妥当と考えられます。アミオダロンが CYP3A4 で代謝され、そこから肝代謝と判断できると考えられます。（101-69)
選択肢 4 ですが
ジベンゾリンコハク酸塩（シベノール）は、クラス Ia 群に属する抗不整脈薬です。主に尿中排泄される薬です。検査値から腎機能がかなり低下しており「最も適切」とはいえないと考えられます。（98-251)
以上より
問 216 の正解は 3 です。
問 217 の正解は 2,3 です。
コメント