問 題
65歳男性。がんで入院中。当初、医療チームの方針として、アプレピタントカプセルを制吐剤として投与することが計画されていたが、口内炎が悪化したため、ホスアプレピタントの点滴静注への変更について再度検討することとなった。
問208
処方の再検討に際して、薬剤師が医療チームに行う説明として適切でないのはどれか。1つ選べ。
- ホスアプレピタントは、アプレピタントの経口投与が困難な患者さんのために開発された薬剤です。
- ホスアプレピタントは、アプレピタントの水溶性を向上させたプロドラッグです。
- ホスアプレピタントは、アプレピタントの窒素原子にリン酸基が導入されたことにより、血液脳関門を通過しやすくなっています。
- ホスアプレピタントは生体内の代謝反応を通じて、速やかにアプレピタントに変化します。
- ホスアプレピタントの投与においても、アプレピタントにおいて認められているような代謝酵素の阻害に基づく薬物相互作用に注意する必要があります。
問209
アプレピタントからホスアプレピタントが創製されたのと同様な目的で開発されたプロドラッグはどれか。1つ選べ。
正解.
問208:3
問209:4
解 説
問208
ホスアプレピタントは、アプレピタント(経口剤)のプロドラッグです。注射剤です。投与後速やかにアプレピタントに変化します。経口投与が難しい患者さんのためのアプレピタント別製剤バージョンと考えるとよいです。そのため「血液脳関門を通過しやすくなっている」といった性質の変化はありません。
以上より、正解は 3 です。
問209
経口製剤に難があり、その改良のために別製剤が作られた というプロドラッグを選択肢から見つけてください、という問といえます。
選択肢 1 ですが
経口投与による吸収改善のために開発されたプロドラッグです。エステル部分が加水分解することにより活性代謝物となります。
選択肢 2 ですが
バラシクロビルは、アシクロビルのプロドラッグです。経口投与による吸収改善のために開発されたプロドラッグです。肝臓のエステラーゼで代謝されて薬効を示します。
選択肢 3 ですが
ドカルパミンは、ドパミンのプロドラッグです。カテコール基とアミノ基を修飾することで血漿中遊離型ドパミン濃度を効率的かつ持続的に上昇させることができる経口剤として開発されました。
選択肢 4 は妥当な記述です。
クロラムフェニコールコハク酸エステルナトリウムは注射剤です。クロラムフェニコール経口製剤には強い苦味があります。経口投与困難な患者のための注射製剤として開発されたと考えられます。
選択肢 5 ですが
ロキソプロフェンナトリウムは、消化管障害軽減を目的としたプロドラッグです。
以上より、正解は 4 です
参考)製剤 3-4 1)
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