薬剤師国家試験 第105回 問133 過去問解説

 問 題     

化学物質A~Eの代謝に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. AはシトクロムP450による還元的脱ハロゲン化によりトリフルオロ酢酸に代謝される。
  2. BはシトクロムP450によりN-脱メチル化された後、DNA付加体を形成する。
  3. Cは代謝的活性化を受けずに、直接DNA付加体を形成する。
  4. DはシトクロムP450による酸化的脱硫反応によりオクソン体に代謝される。
  5. EはシトクロムP450により還元され、アセトアミノフェンとアセトアルデヒドを生成する。

 

 

 

 

 

正解.2, 4

 解 説     

選択肢 1 ですが
トリフルオロ酢酸は CF3COOH です。酸素がくっついているから、トリフルオロ酢酸に代謝されるのであれば「酸化的」脱ハロゲン化ではないかと考えられます。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当な記述です。
B はジメチルニトロソアミンです。P450(CYP2E1)による N-脱メチル化を受けたのち、色々あってメチルカチオンができ、DNA を化学修飾することで発がん性を示す物質です。(102-131)

選択肢 3 ですが
C は Trp – P – 2 です。ヘテロサイクリックアミンの一種です。ヘテロサイクリックアミンは、N-水酸化の後、O-アシル化を受けて代謝活性化されます。(102-131100-131)「代謝的活性化を受けずに」ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当な記述です。
D はパラチオンです。パラチオンは、CYP による脱硫反応によりパラオキソンに変換されます。(102-22)

選択肢 5 ですが
E はフェナセチンです。CYP により、O – 脱アルキル化されて(102-22)、アセトアミノフェンが生成されます。アセトアミノフェンの構造は知っている前提です。Oー脱アルキル化なので「酸化」です。「還元」ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2,4 です。

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