国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H29年 問71解説

 問 題     

ミカエリス・メンテンの式に従う酵素反応において、ミカエリス定数が 0.60 nM、基質濃度が300 nMのときの反応初速度は 0.30 nM/min であった。表は、この測定時と同じ条件で基質濃度を変化させたときの反応初速度をまとめたものである。表の㋐、㋑、㋒に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

㋐ ㋑ ㋒
1. 0.15 0.20 0.30
2. 0.15 0.20 3.0
3. 0.15 0.30 0.30
4. 0.30 0.20 3.0
5. 0.30 0.30 3.0

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

ミカエリス・メンテンの式なので、v = (vmax+[S])/(Km+[S]) を思い出します。Km は、Vmax の半分になる時の基質濃度を表します。

㋐ ですが
ミカエリス定数と等しい基質濃度なので、Vmax の半分です。基質濃度が 300 μM の時の 0.30 μM/min が、ほぼ Vmax と考えて良いです。㋐ は、0.30 の半分である 0.15 です。 正解は 1 ~ 3 です。

次に、㋒ の方がわかりやすいため、そちらに注目します。基質濃度が 3mM ということは、とんでもなく基質濃度いっぱいです。とはいえ、飽和したら基質濃度がどんなに大きくても、反応速度はほぼ変わらないため、0.30μM/min と考えられます。これにより、正解は 1 or 3 です。

すると、㋑ ですが
1.2 μM は、ミカエリス定数の2倍なので、上に凸の曲線をイメージすれば、まだ飽和はしていないと考えられます。よって 0.15 より大きく、0.30 より小さい値が入ります。選択肢より、0.20 です。

以上より、正解は 1 です。

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