薬剤師国家試験 第99回 問138 過去問解説

 問 題     

逆転層と大気の安定度に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 放射性逆転は、地表近くにおいてよりも上空においての方が生じやすい。
  2. 盆地などの低地において、冷たい空気が周りの斜面に沿って降りてきて起こる逆転のことを地形性逆転という。
  3. 寒気団が暖気団の下に入り込んで起こる逆転のことを沈降性逆転という。
  4. 逆転層内では汚染物質(例えば煙突の煙)は拡散しやすい。
  5. 実際の大気の気温減率(高度が上がるにしたがって気温が下がる割合)が乾燥断熱減率(0.98℃/100m)よりも大きいとき、大気は不安定となる。

 

 

 

 

 

正解.2, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
放射性逆転とは、本来上空の方が低温ですが、夜の放射冷却現象により、地表面付近の空気の方が低温となる事です。つまり、放射性逆転は、地表近くにおいておきやすい現象です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は、正しい記述です。

選択肢 3 ですが
寒気団が暖気団の下に入り込んでおきる逆転は、前線性逆転と呼ばれます。ちなみに、沈降性逆転とは、高気圧下において下降気流がおきる所での逆転のことです。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
逆転層内では、空気の混合がおこりにくく、汚染物質は滞留しやすいという特徴があります。つまり、拡散しやすいわけでは、ありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は、その通りの記述です。

以上より、正解は 2,5 です。

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