薬剤師国家試験 第99回 問137 過去問解説

 問 題     

富栄養化に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 富栄養化に伴って異常繁殖した動物性プランクトンは、肝毒性を示すミクロシスチンを産生する。
  2. 富栄養化に伴って異常繁殖した放線菌や藍藻類の中には、カビ臭物質であるトリハロメタンを産生するものがある。
  3. 富栄養化の制限因子は窒素とリンであり、生活雑排水の寄与が大きい。
  4. 富栄養化によってプランクトンが大量増殖するとともに、魚介類も異常繁殖する。
  5. 富栄養化は閉鎖系水域で発生しやすく、赤潮やアオコの発生要因となっている。

 

 

 

 

 

正解.3, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
ミクロシスチンとは、7アミノ酸からなる、環状ペプチドです。ミクロシスチンを産生するのは、アオコです。アオコとは、植物性プランクトンの異常増殖です。つまり、ミクロシスチンを産生するのは動物性プランクトンでは、ありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
放線菌や藍藻類が産生するカビ臭物質は、2-メチルイソボルネオールやジェオスミンです。トリハロメタンでは、ありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は、その通りの記述です。

選択肢 4 ですが
富栄養化により、プランクトンが異常増殖すると、水中の酸素不足により魚介類は死滅します。魚介類も異常繁殖するわけでは、ありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は、その通りの記述です。

以上より、正解は 3,5 です。

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