99回薬剤師国家試験 問120解説

 問 題     

インフルエンザウイルスに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. インフルエンザウイルスは、遺伝子としてRNAをもち、レトロウイルス科に分類される。
  2. A型インフルエンザウイルスに含まれる赤血球凝集素(ヘマグルチニン)とノイラミニダーゼは、エンベロープに存在しスパイク構造物(突起)を構成する。
  3. 赤血球凝集素は、増殖した子孫ウイルスが感染細胞から離脱するのを促進させる。
  4. ノイラミニダーゼは、ウイルスが宿主細胞に感染するときに、細胞表面の受容体認識及び結合に関わる。
  5. 赤血球凝集素及びノイラミニダーゼには、それぞれ抗原性の異なる複数の種類が知られる。

 

 

 

 

 

正解.2, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
インフルエンザウイルスは、オルトミクスウイルス科に属します。レトロウイルス科では、ありません。ちなみに、レトロウイルス科の代表的なウイルスは HIV です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は、正しい記述です。

選択肢 3 ですが
赤血球凝集素(ヘマグルチニン)の機能は、標的細胞表面のシアル酸と結合すること、及び膜融合です。子孫ウイルスの、感染細胞からの離脱を促進させるという役割は、知られていません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
ノイラミニダーゼは、シアル酸類を糖タンパク質から切断する酵素です。選択肢 3 の記述にあった子孫ウイルスの、感染細胞からの離脱を促進させるという役割を果たす酵素です。ちなみに、この選択肢の記述はヘマグルチニンに関するものと考えられます。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は、正しい記述です。

以上より、正解は 2,5 です。

コメント