薬剤師国家試験 第99回 問42 過去問解説

 問 題     

薬物の血漿タンパク結合の解析に用いられる式はどれか。1つ選べ。

  1. Henderson-Hasselbalch式
  2. Langmuir式
  3. Augsberger式
  4. Arrhenius式
  5. Cockcroft-Gault式

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

選択肢 1 ですが
Henderson-Hasselbalch の式とは、pH と、pKa 、及び 分子形、イオン形の濃度の関係を表した式です。以下のような式になります。

薬物の血漿タンパク質結合の解析には用いられません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は、正しい記述です。
Langmuir 式 とは、単分子層の吸着量に関する方程式です。以下の式です。

※ f は最大吸着量に対する吸着量の割合
※ a は定数、p は圧力

タンパク質と薬物の結合の解析に用いられます。

選択肢 3 ですが
Augsberger 式とは、小児薬物量の推定式です。(年齢×4 + 20)/100 × (大人量) で表されます。薬物の血漿タンパク質結合の解析には用いられません。
よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
Arrhenius 式は、一般的な医薬品の分解反応における温度と反応速度定数の間にある関係を表す式です。式は以下のような形です。

※ k は反応速度定数、Eaは、活性化エネルギー、Rは気体定数、Aは頻度因子という名前のパラメータ定数 です。

薬物の血漿タンパク質結合の解析には用いられません。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
Cockcroft – Gault 式は、クレアチニンクリアランスの推定式です。クレアチニンクリアランスとは、血中からクレアチニンがどの程度の速度で尿中に排出されるかを表す数値です。簡易的に採血のみでクレアチニンクリアランスを推定する式として、以下の

※Scr:血清クレアチニン、Age:年齢、Weight:体重
※上の式は男性。女性は上の式に 0.85 をかけます。筋肉量を反映させる係数が 0.85 です。

が用いられます。タンパク結合の解析には、用いられません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

参考 薬剤学まとめ 代表的な薬物のタンパク結合能

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