98回薬剤師国家試験 問123解説

 問 題     

食品に由来する発がん物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 亜硝酸と二級アミンからのニトロソアミンの生成は、pHが7付近で最も起こりやすい。
  2. サイカシンは、体内でβ-グルコシダーゼによって代謝されたのちメチルカチオンを生じる。
  3. ベンゾ[a]ピレンは、食品の焦げた部分などに含まれる多環芳香族炭化水素の一種である。
  4. タンパク質を加熱したときに生成するGlu-P-1は、エポキシ体に代謝されて変異原性を示す。
  5. ジャガイモを揚げたときなどに生成するアクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンの一種である。

 

 

 

 

 

正解.2, 3

 解 説     

硝酸塩が、胃内などの酸性環境において亜硝酸となることにより、体内の物質と反応してニトロソアミン類となります。よって、pH が 7 付近で最も起こりやすいわけではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2,3 はその通りの記述です。

Glu-P-1などのヘテロサイクリックアミンは、N-水酸化を受けたのちアセチルトランスフェラーゼにより、O-アシル化を受けます。これにより、代謝活性化され、DNAの化学修飾を通じて変異原性を示します。よって、エポキシ体に代謝されてではありません。選択肢 4 は誤りです。

アクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2,3 です。

コメント