薬剤師国家試験 第97回 問294-295 過去問解説

 問 題     

62歳男性。高血圧症。冠動脈疾患治療のため、2年前に経皮的冠動脈形成術を受け、薬物を服用していた。その後、症状悪化のため、開胸心臓手術の適応となり手術目的で入院した。

問294

以下の薬物のうち、手術前に出血予防のため休薬期間を要し、さらにCYP2C19遺伝子多型により体内動態が影響を受ける薬物はどれか。1つ選べ。

  1. マニジピン塩酸塩
  2. アスピリン
  3. アテノロール
  4. テルミサルタン
  5. クロピドグレル硫酸塩

問295

この患者(体重50kg)の手術時の血圧コントロールのために、ニトログリセリン注25mg/50mL瓶を輸液ポンプを用いて、4μg/㎏/分の速度で点滴静注する予定である。この注射剤1瓶で投与可能な最大時間として、最も近いのはどれか。1つ選べ。

  1. 30分
  2. 60分
  3. 90分
  4. 120分
  5. 240分

 

 

 

 

 

正解.
問294:5
問295:4

 解 説     

問294

マニジピン(カルスロット)は、カルシウム拮抗薬です。降圧薬です。代謝は肝臓です。主に CYP 3A4 です。休薬期間も必要ありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

アスピリンは、血小板凝集抑制剤です。手術前に休薬を行います。CYP2C19 遺伝子多型による影響はうけません。よって、選択肢 2 は誤りです。

アテノロール(テノーミン)は、β1 選択的遮断薬です。降圧薬です。狭心症などにも用いられます。休薬期間は必要ありません。又、肝臓でほとんど代謝をうけず、CYP2C19 遺伝子多型による影響はうけません。よって、選択肢 3 は誤りです。

テルミサルタン(ミカルディス)は、ARB(Angiotensin II receptor blockers:アンギオテンシン受容体拮抗薬)です。降圧薬です。休薬期間は必要ありません。主としてグルクロン酸抱合によって代謝されます。よって、選択肢 4 は誤りです。

クロピドグレル(プラビックス)は、抗血小板薬です。手術前に出血予防のため休薬期間を要しさらに CYP2C19 遺伝子多型により体内動態が影響を受ける薬物です。

以上より、正解は 5 です。

問295

体重 50 kgなので、4(μg/kg/分)× 50 (kg) = 200 (μg/分)です。

ニトログリセリンは 25 mg = 25000 μg なので

25000 (μg) ÷ 200 (μg/分) = 125 (分) です。

以上より、正解は 4 です。

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