薬剤師国家試験 第97回 問200-201 過去問解説

 問 題     

原発開放隅角緑内障の患者が、以下の内容の処方せんを保険薬局に持参した。患者インタビューの結果、ベンゾジアゼピン系薬の服薬歴があることが確認された。

問200

この患者に関する情報収集と服薬指導の内容として、誤っているのはどれか。1つ選べ。

  1. ラタノプロスト点眼液の投与により色素沈着が起こる可能性がある。
  2. 気管支ぜん息の有無を確認する。
  3. ベンゾジアゼピン系薬の併用は禁忌である。
  4. 点眼液の併用時は、5分間以上の間隔をあけて点眼する。
  5. アセタゾラミド錠の服用により、四肢のしびれが生じることがある。

問201

アセタゾラミドは、HCO3とH2CO3の濃度バランスを変化させることにより、アシドーシスを引き起こすと考えられている。血漿のpHが7.4であるとき、血漿中のHCO3の濃度は、H2CO3の濃度の何倍か。最も近い値を1つ選べ。

ただし、H2CO3は、以下の式に従って解離し、そのpKaは6.1とする。また、log102=0.30、log103=0.48とする。

  1. 0.05
  2. 1.3
  3. 10
  4. 13
  5. 20

 

 

 

 

 

正解.
問200:3
問201:5

 解 説     

問200

ラタノプロスト(キサラタン)は、緑内障治療薬の目薬です。成分が皮膚につくことで、皮膚の色素沈着や、まつげの多毛化が副作用として知られています。このため、入浴前に点眼したり、目薬使用後、すぐに清潔なティッシュやガーゼでよく拭きとるとよいです。

又、動物実験において、一過性の気道抵抗の増加が起きており、気管支喘息の患者には慎重投与となっています。

緑内障治療薬は、2種類以上の点眼剤が出ることもよくあります。点眼剤の併用時には、薬があふれてしまわないように、5分間以上間隔をあけて点眼するよう指導する必要があります。

アセタゾラミドは、炭酸脱水酵素阻害剤です。房水の産生を抑えることで眼圧を下げます。比較的多い(25.9%)副作用として、四肢の知覚異常があります。ただ、これはとくに重大な副作用ではなく、服用を続けるにしたがって慣れていき、しびれ感が軽減されることも多いようです。

特にベンゾジアゼピン系の薬と併用禁忌である薬はありません。

以上より、正解は 3 です。

問201

弱酸の pH , pKa が与えられているので、Henderson-Hasselbalch(ヘンダーソン・ハッセルバルヒ)の式を使います。式は、以下の通りになります。

なので、[HA] を 1 とすれば [A] は、101.3 であるはずです。

さて、101.3 とは、どれくらいの数字かということを考えます。101.3 は、10乗すれば、 1013 です。又、明らかに 101.3 は、10よりは大きいと考えられます。ここで、選択肢を見ると、10より大きいのは 13 か 20 です。

そこで、1310 と2010 を考えます。計算しやすそうなので、先に 2010 を考えると

2010 = (2×10)10 = 1024 ×1010 1000 × 1010 = 1013 なので、20 が正解であると考えられます。

以上より、正解は 5 です。

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