薬剤師国家試験 第97回 問196-197 過去問解説

 問 題     

脂質異常症の患者。スタチン系薬単剤で治療を続けるも低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)がコントロール不良であり、主治医はコレスチミド錠を処方に追加した。

問196

医師よりコレスチミド錠に関する問い合わせがあった場合に、情報提供として適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 十分量の温水にて服用させるように伝える。
  2. 胆道が完全閉塞している患者には禁忌であることを伝える。
  3. 腸管からは吸収されないことを説明する。
  4. 腎機能が低下した患者には用量調節が必要であることを伝える。
  5. トリグリセリド値も低下させる作用があることを説明する。

問197

その後、この患者は、ワルファリンカリウム錠の投与が必要となった。ワルファリンはコレスチミドと併用すると吸収が阻害されることがある。その主な物理化学的要因はどれか。1つ選べ。

  1. 共有結合
  2. 水素結合
  3. 配位結合
  4. 疎水結合
  5. イオン結合

 

 

 

 

 

正解.
問196:2, 3
問197:5

 解 説     

問196

コレスチミドは、温水で飲むとふくらんで飲み込めない場合があるので、水または冷水ですぐに飲むように指導する必要がある薬です。よって、温水にて服用させるように伝えるのは適切ではないため選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2,3 はその通りの記述です。
コレスチミドは、胆道が完全閉塞している患者には、禁忌です。又、この薬は、体内に吸収されず、腸管で作用する薬です。

コレスチミドは、体内に吸収されないことから、腎代謝と関係がありません。よって、腎機能が低下した患者に対して用量調節が必要であると伝えるのは適切ではないため、選択肢 4 は誤りです。

コレスチミドは、陰イオン交換樹脂です。コレステロールを低下させます。中性脂肪は下げません。よって、トリグリセリド値も低下させる作用があることを説明するのは適切ではないため、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2,3 です。

問197

コレスチミドは、陰イオン交換樹脂です。よって、相互作用するとすれば、イオン結合がその主な物理化学的要因であると考えられます。

以上より、正解は 5 です。

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