薬剤師国家試験 第97回 問176 過去問解説

 問 題     

粉体の性質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 粉砕しても、その比表面積は変化しない。
  2. 粉砕すると、安息角は小さくなる。
  3. 粒子径が大きいほど、空隙率が大きい粉体層を形成する。
  4. 個数平均径Dnと質量平均径Dwを比較すると、Dn < Dwである。
  5. ガス吸着法や空気透過法による粒子径測定では、粒度分布は得られない。

 

 

 

 

 

正解.4, 5

 解 説     

比表面積とは、単位質量あたりの表面積、又は、単位体積あたりの表面積です。粉砕すると、質量、総体積は変わらず、表面積が大きくなるため比表面積は大きくなります。よって、比表面積は変化しないわけではないので、選択肢 1 は誤りです。

安息角とは、粉体を静かに落下させた時に、円すい形に堆積した時の、円すいの母線と水平面のなす角です。粒子径が小さくなると、安息角は一般に増加します。粉砕するとは、粒子径が小さくなるということなので安息角は大きくなります。よって、選択肢 2 は誤りです。

空隙率とは、単位体積あたりのすきまの割合のことです。粒子径が「小さく」なるほど、凝集性が大きくなり空隙率が大きくなることが知られています。よって、選択肢 3 は誤りです。

個数平均径とは

です。一般に、他の平均径よりも、分布の形に関係なく小さくなります。

質量平均径とは

です。一般に、他の平均径よりも、分布の形に関係なく大きくなります。

ガス吸着法や空気透過法は、粉体粒子の比表面積を求める測定法です。よって、粒度分布を得ることはできません。

ガス吸着法のイメージ

空気透過法のイメージ

比表面積は、コゼニー・カーマンの式と呼ばれる以下の式で求めることができます。

以上より、正解は 4,5 です。

参考 製剤学まとめ 粉体の性質

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