薬剤師国家試験 第97回 問162 過去問解説

 問 題     

血液に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. アルガトロバンは、プロスタノイドIP受容体を刺激し、血小板凝集を阻害する。
  2. ウロキナーゼは、フィブリノーゲンに強く結合し、フィブリンの生成を抑制する。
  3. ダルテパリンは、アンチトロンビンⅢに結合し、Xa因子の活性を阻害する。
  4. トラネキサム酸は、プラスミンのリシン結合部位に結合し、プラスミンによるフィブリンの分解を阻害する。

 

 

 

 

 

正解.3, 4

 解 説     

アルガトロバンは、抗トロンビン薬です。タンパク質分解酵素阻害薬で、アンチトロンビン III 非依存的に凝固因子を阻害することにより抗凝固作用を示します。よって、プロスタノイド IP 受容体を刺激し血小板凝集を阻害するわけではないので、選択肢 1 は誤りです。

ウロキナーゼは、血栓を作るタンパク質のフィブリンを分解する抗血栓薬です。よって、フィブリンの生成を抑制するわけではないので、選択肢 2 は誤りです。

ダルテバリンは、ヘパリン類似物質です。アンチトロンビン III の作用を増強しセリンプロテアーゼ(トロンビンや、第 Xa 因子)の活性を抑制します。

トラネキサム酸は、線溶系抑制薬です。プラスミノーゲンや、プラスミンのリシン結合部位に結合することでプラスミンによるフィブリン分解を阻害することにより止血作用を示します。

以上より、正解は 3,4 です。

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