薬剤師国家試験 第97回 問156 過去問解説

 問 題     

中枢神経系に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ドネペジルは、中枢のアセチルコリンエステラーゼを阻害し、低下したコリン作動性神経伝達を促進する。
  2. セレギリンは、脊髄多シナプス反射を抑制し、痙性麻痺における過剰な筋緊張を緩和する。
  3. 炭酸リチウムは、縫線核のセロトニン作動性神経活動を選択的に抑制し、抗躁作用を示す。
  4. エダラボンは、脳虚血障害により発生したフリーラジカルを消去し、神経細胞の酸化的障害を抑制する。
  5. チザニジンは、脊髄のニコチン性アセチルコリン受容体の機能を抑制し、腰痛症の筋緊張を緩和する。

 

 

 

 

 

正解.1, 4

 解 説     

ドネペジルは、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬です。コリン作動性神経伝達を促進し、アルツハイマー病の進行抑制に用いられます。

セレギリンは、MAOB(monoamine oxidases B)阻害薬です。MAO はドパミンの分解酵素です。MAO を阻害することで間接的にドパミンの量を増加させ、抗パーキンソン病作用を示します。よって、選択肢 2 は誤りです。

炭酸リチウムは、抗躁薬です。PI(ホフファチジルイノシトール)代謝回転の抑制を通じて抗躁作用を示します。よって、選択肢 3 は誤りです。

エダラボンは、脳保護剤です。フリーラジカル除去により、酸化的障害を抑制します。

チザニジンは、中枢性筋弛緩薬です。中枢性 α2 受容体刺激作用を示します。よって、アセチルコリン受容体の機能を抑制するわけではなく、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,4 です。

コメント