薬剤師国家試験 第97回 問153 過去問解説

 問 題     

副交感神経系に作用する薬物に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

  1. ジスチグミンは、シュレム管を開放し、眼房水の流出を促進する。
  2. ベタネコールは、ムスカリン様作用を示し、腸管の蠕動運動を促進する。
  3. カルバコールは、真性及び偽性コリンエステラーゼのいずれによっても分解されにくい。
  4. プロパンテリンは、前立腺肥大による排尿障害を改善する。
  5. ピロカルピンは、瞳孔括約筋を収縮させ、縮瞳を引き起こす。

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

ジスチグミンは、間接型コリン作動薬(可逆的コリンエステラーゼ阻害薬)です。アセチルコリンは、シュレム管を開く方向に作用し、それにより眼房水の流出は促進されます。これにより、眼圧低下が期待されます。

ベタネコールは、直接型コリン作動薬です。M受容体に作用し、消化器の活動を促進させます。

カルバコールは、直接型コリン作動薬です。コリンエステラーゼにより分解されにくいという特徴があります。

プロパンテリンは、抗コリン薬です。抗コリン薬の有名な副作用として、排尿困難があります。これは、排尿筋の収縮(尿を出そうとする動き)を抑制するためです。よって、選択肢 4 は誤りです。

ピロカルピンは直接型コリン作動薬です。瞳に対する作用としては、縮瞳を引き起こします。収縮させる筋肉は瞳孔括約筋です。

以上より、誤っている選択肢は 4 です。

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