問 題
57 歳男性。身長 160 cm、体重 65 kg。総合病院にて IgA 腎症による慢性腎不全、高血圧及び高リン血症に対し、以下の処方薬で治療が行われていた。
| ロサルタンカリウム錠 50 mg | 1 回 1 錠( 1 日 1 錠) |
| カルベジロール錠 10 mg | 1 回 1 錠( 1 日 1 錠) |
| 1 日 1 回 朝食後 | |
| フロセミド錠 40 mg | 1 回 1 錠( 1 日 2 錠) |
| 1 日 2 回 朝昼食後 | |
| 炭酸ランタン口腔内崩壊錠 500 mg | 1 回 1 錠( 1 日 3 錠) |
| 1 日 3 回 朝昼夕食直後 |
最近、全身倦怠感が強くなってきたため、検査入院となった。以下の身体所見及び検査所見が認められた。
(身体所見)
体温 36.3 ℃、血圧 128/72 mmHg、脈拍 75 拍/分(整)、SpO2 97 %、下肢浮腫(-)
(尿検査)
尿タンパク(±)、尿潜血( 2+)
(血液検査)
赤血球 230 × 104 /μL、Hb 7.6 g/dL、MCV(平均赤血球容積)80 fL(基準値 80~100 fL)、白血球 4,500 /μL、血小板 20 × 104 /μL、AST 25 IU/L、ALT 15 IU/L、血清クレアチニン 4.51 mg/dL、eGFR 14.4 mL/min/1.73 m2、血清アルブミン 3.2 g/dL、総タンパク 6.4 g/dL、K 4.0 mEq/L、補正 Ca 8.7 mg/dL、P 4.4 mg/dL、intact-PTH 50 pg/mL(基準値 10~65 pg/mL)、フェリチン 80 ng/mL(基準値 25~250 ng/mL)、トランスフェリン飽和度(TSAT)15 %(基準値 20~30 %)、LVEF 60 %、BNP 17.2 pg/mL(基準値 < 18.4 pg/mL)
問292
この患者の現在の病態として適切なのはどれか。 2 つ選べ。
- 心不全
- 骨代謝異常
- 鉄代謝異常
- 肝不全
- 貧血
問293
この患者の病態に応じた医師への処方提案として、適切なのはどれか。 2 つ選べ。
- カルベジロール錠の増量
- 炭酸ランタン口腔内崩壊錠の増量
- ニフェジピン徐放錠の追加
- クエン酸第一鉄ナトリウム錠の追加
- ロキサデュスタット錠の追加
問292:3, 5
問293:4, 5
解 説
問292
選択肢 1 ですが
血圧は高くも低くもなく、BNP も基準値以内です。心不全ではないと考えられます。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
補正 Ca、P、intact – PTH 全て基準値以内です。骨代謝異常は見られません。選択肢 2 は誤りです。(Ca: 8.8 ~ 10.4 mg/dL、P:2.5〜4.5 mg/dL)
選択肢 3 は妥当です。
トランスフェリン飽和度 (TSAT) が低下しており、フェリチンも 80 ng/mL (目標・基準とされる 100 ng/mL 未満) であるため、鉄欠乏状態です。鉄代謝異常と考えられます。
選択肢 4 ですが
AST、ALT 共に基準値内です。肝不全ではないと考えられます。
選択肢 5 は妥当です。
Hb や赤血球が 著しく低下しています。腎不全治療中であることもふまえると、腎性貧血と考えられます。
以上より、問 292 の正解は 3,5 です。
問293
腎性貧血の治療として、低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬であるロキサデュスタット錠の追加(選択肢 5)が適切です。
また、TSAT 15%(< 20%)、フェリチン 80 ng/mL(< 100 ng/mL)と鉄欠乏状態を伴っているため、造血薬の効果を十分に発揮させるためにもクエン酸第一鉄ナトリウム錠(鉄剤)の追加(選択肢 4)が必要と考えられます。
以上より、問 293 の正解は 4,5 です。

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