問 題
77 歳男性。身長 165 cm、体重 61 kg。10 年前に腎硬化症と診断され、処方 1 ~ 4 の薬剤で治療中である。
| 炭酸水素ナトリウム錠 500 mg | 1 回 1 錠( 1 日 3 錠) |
| 1 日 3 回 朝昼夕食後 5 日分 |
| 球形吸着炭細粒 | 1 回 2 g( 1 日 6 g) |
| 1 日 3 回 朝昼夕食間 5 日分 |
| アルファカルシドール錠 0.5 μg | 1 回 1 錠( 1 日 1 錠) |
| ダプロデュスタット錠 4 mg | 1 回 1 錠( 1 日 1 錠) |
| アムロジピン錠 5 mg | 1 回 2 錠( 1 日 2 錠) |
| オルメサルタン錠 40 mg | 1 回 1 錠( 1 日 1 錠) |
| 1 日 1 回 朝食後 5 日分 |
| ドキサゾシンメシル酸塩錠 4 mg | 1 回 1 錠( 1 日 2 錠) |
| 1 日 2 回 朝夕食後 5 日分 |
しかし、半年前から腎機能が徐々に低下してきたため、食事制限を行った。患者は腎代替療法として血液透析を希望しており、透析シャント形成のために入院となった。
また、入院前日に同院内で歯科治療を受け、処方 5 が追加され服薬していたが痛みは持続している。入院時の血液検査結果は以下のとおりであった。
| アセトアミノフェン錠 500 mg | 1 回 1 錠 |
| 疼痛時 10 回分 |
(検査値)
血清クレアチニン 7.4 mg/dL、CCr 7.2 mL/min、K 5.9 mEq/L、Ca 9.2 mg/dL、P 3.1 mg/dL、HCO3− 24.1 mEq/L、Hb 9.8 g/dL、血液 pH 7.39、血圧 180/110 mmHg
問256
この患者に伝える内容として適切なのはどれか。 2 つ選べ。
- 体の中の酸とアルカリのバランスが整ってきており、処方 1 の薬剤の内服継続が必要であること。
- 血液透析導入後は食事制限がなくなること。
- 処方 3 及び 4 の薬剤を服用中は立ちくらみ症状に注意すること。
- 処方 5 の薬剤は 1 時間空ければ、繰り返し服用可能であること。
- 血液透析を開始した後は、ダプロデュスタットによる治療が不要になること。
問257
検査値からこの患者は高カリウム血症と判断できる。その原因と考えられる処方 1 ~ 3 に含まれる薬物の作用機序はどれか。 1 つ選べ。
- 電位依存性 L 型 Ca2+ チャネルの遮断
- 低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)の阻害
- ビタミン D 受容体の刺激
- アドレナリン α1 受容体の遮断
- アンジオテンシンⅡ AT1 受容体の遮断
問256:1, 3
問257:5
解 説
問256
選択肢 1 は妥当です。
検査値の血液 pH 7.39 及び HCO3– 24.1 mEq/L は基準値以内です。処方 1 の炭酸水素ナトリウムにより、血液の酸性化が適切に補正されている状況と考えられます。そのため、引き続き内服継続が必要です。
選択肢 2 ですが
血液透析導入後も、塩分や水分、カリウムなどの食事制限は継続する必要があります。「食事制限がなくなること」は伝える内容として不適切です。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
処方 3 の 降圧剤 アムロジピンやオルメサルタン、及び 処方 4 の降圧剤 ドキサゾシン を服用中は、急激な降圧による立ちくらみ症状に注意が必要です。
選択肢 4 ですが
アセトアミノフェンは、少なくとも 4 時間は服用間隔を空ける必要があります。「1 時間空ければ、繰り返し服用可能」ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
ダプロデュスタットは、HIF – PH (低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素) を阻害することにより、赤血球を増やす作用があるエリスロポエチンを増加させ、貧血を改善する効果があります。腎性貧血の治療に用いられます。
血液透析開始後も、腎臓のエリスロポエチン産生能力は低下したままであるため、腎性貧血の治療は引き続き必要です。「血液透析を開始した後は、ダプロデュスタットによる治療が不要」ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 256 の正解は 1,3 です。
問257
処方 1 ~ 3 に含まれる薬物で、高カリウム血症の原因と考えられるのは、オルメサルタン錠です。
選択肢 1 ですが
電位依存性 L 型 Ca2+ チャネルの遮断は、アムロジピンの作用機序です。高カリウム血症の原因ではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素 (HIF-PH) の阻害は、ダプロデュスタットの作用機序です。高カリウム血症の原因ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
ビタミン D 受容体の刺激は、アルファカルシドールの作用機序です。高カリウム血症の原因ではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
アドレナリン α1 受容体の遮断は、ドキサゾシンの作用機序です。処方 1 ~ 3 に含まれる薬物の作用機序ではありません。また、高カリウム血症の原因ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
アンジオテンシンⅡ AT1 受容体の遮断は、オルメサルタンの作用機序です。AT1 受容体を遮断してアルドステロン分泌を抑え、K+ 排泄抑制により高カリウム血症の原因となりえます。
以上より、問 257 の正解は 5 です。

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