問 題
30 歳女性。気管支ぜん息治療のため、処方 1 及び 2 の製剤を継続使用している。
来局時、薬剤師は患者に対し最近気になることはないか尋ねたところ、次の回答を得た。
患者:「今まで発作は月 1 ~ 2 回程度でしたが、最近、頻度が多くなっています。発作が出てしまう原因はわからないのでしょうか。」
(薬歴に記載された前回来局時までの患者情報)
事務職。仕事はほぼ定時だが、月に 1 回程度は残業がある。ダイエットを心がけているが、仕事中につい間食をし、ジュースを飲んでしまう。性格はまじめで、ストレスを溜めやすい。
問256
薬剤師は、生活環境の中に発作の原因がある可能性を考えた。患者から聞き取り収集する情報として、重要性の最も低いのはどれか。1 つ選べ。
- 最近、残業が増えているか。
- 現在、痛み止めを服用しているか。
- グレープフルーツジュースを飲んでいるか。
- 犬や猫などのペットを飼育しているか。
- 風邪の症状など体調不良が長引いているか。
問257
患者への聞き取りの結果、生活環境が発作に関与している可能性は低いと考えられたため、処方1と作用機序が異なる長期管理薬の追加を処方医に提案することとなった。
提案する薬物の作用機序として、適切なのはどれか。1 つ選べ。
- アセチルコリン M3 受容体の遮断
- アドレナリン β2 受容体の刺激
- グルココルチコイド受容体の刺激
- ロイコトリエン CysLT1 受容体の遮断
- アデノシン A1 受容体の刺激
正解.
問256:3
問257:4
解 説
問256
問 257 とまとめて解説します。
問257
コントローラーとして、3剤配合のテリルジー100 エリプタ(2020年11月27日 喘息の効能・効果が追加)、リリーバーとしてサルブタモールが処方されています。
ストレス、肥満、アレルギー、風邪などの呼吸器感染症などが発作の原因や、症状の悪化原因になりえます。一方で、吸入剤なので、グレープフルーツジュースを飲んでいるかを確認し、CYP 代謝の影響を考慮する重要性は、相対的に低いと考えられます。
追加する「処方1と作用機序が異なる」コントローラーということで、問 257 の選択肢 1,2,3 は不適切です。
また、選択肢 5 ですが、アデノシンに関連して、気管支拡張薬として知られるテオフィリンが、アデノシン受容体に対して拮抗薬です。そのため、アデノシン受容体の刺激は、そもそも本症例には不適切と考えられます。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 256 の正解は 3 です。
問 257 の正解は 4 です。
コメント