薬剤師国家試験 第108回 問258-259 過去問解説

 問 題     

50 歳男性。身長 170 cm、体重 72 kg。2 型糖尿病及び高血圧症で通院しており、以下の薬剤を 1 年以上、継続的に服用している。本日、患者が処方箋を持って薬局を訪れた。

(身体所見及び検査値)

HbA1c 6.6%、食後 2 時間血糖 155 mg/dL、血圧 146/88 mmHg、脈拍 72 拍/分、AST 28 IU/L、ALT 22 IU/L、血清クレアチニン 0.72 mg/dL、Na 140 mEq/L、K 4.0 mEq/L、Cl 102 mEq/L、BNP 14.2 pg/mL(基準値<18.4pg/mL)、心電図 異常なし

問258

薬剤師が血圧手帳を確認したところ、3 ヶ月前から徐々に血圧が上昇していた。この 1 週間は収縮期血圧が 140 mmHg を超えていたため、薬剤師は処方医に降圧薬の追加を提案した。

提案する薬剤として、最も適切なのはどれか。1 つ選べ。

  1. アムロジピン錠
  2. イミダプリル塩酸塩錠
  3. カンデサルタンシレキセチル錠
  4. ビソプロロールフマル酸塩錠
  5. アリスキレンフマル酸塩錠

問259

前問の選択肢 1 〜 5 に挙げた薬物のいずれの作用機序にも該当しないのはどれか。1 つ選べ。

  1. 血管内皮細胞のアンジオテンシン変換酵素を阻害する。
  2. 血管平滑筋の電位依存性 L 型 Ca2チャネルを遮断する。
  3. 血管平滑筋のアドレナリン α1 受容体を遮断する。
  4. 副腎皮質のアンジオテンシンⅡ AT1 受容体を遮断する。
  5. 心筋のアドレナリン β1 受容体を遮断する。

 

 

 

 

 

正解.
問258:1
問259:3

 解 説     

問258

処方1
グリメピリド → SU 剤、糖尿病に対して処方
テルミサルタン → AT1 受容体遮断薬、降圧薬として処方

処方2 共に糖尿病薬
メトホルミン → AMP 活性化プロテインキナーゼ (AMPK) を活性化し、グルコーストランスポーター(GLUT) 4を細胞膜へ移動させる作用など
ビルダグリプチン → DPP-4 (Dipeptidyl Peptidase-4)阻害薬

追加する降圧剤としては、既に処方されている降圧薬とは作用機序が異なるものを選択すべきです。そのため、イミダプリル(ACE阻害剤)やカンデサルタン(AT1 受容体遮断薬)は、不適切です。選択肢 2,3 は誤りです。

ビソプロロールは、β1 選択的遮断薬です。β 遮断を降圧目的で使う場合、本試験時点においては、労作性の狭心症もあるといった背景がない場合、積極的に選ばないと考えられます。本問題では、特にそういった記述がなく、心電図異常なし、という点も含め、より適切なのはアムロジピンと考えられます。選択肢 4 は誤りです。

アリスキレンは、アンジオテンシン II 受容体拮抗剤を投与中の糖尿病患者には、血圧コントロールが著しく不良である場合を除き、禁忌です。不適切と考えられます。選択肢 5 は誤りです。

以上より、問 258 の正解は 1 です。

問259

選択肢 1,2,4,5 はそれぞれ

1:イミダプリル
2:アムロジピン
4:◯◯サルタン
5:ビソプロロール と対応します。

以上より、問 259 の正解は 3 です。

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