薬剤師国家試験 第108回 問57 過去問解説

 問 題     

プロトロンビン時間が延長する疾患はどれか。1 つ選べ。

  1. 鉄欠乏性貧血
  2. 抗リン脂質抗体症候群
  3. 播種性血管内凝固症候群 (DIC)
  4. 血友病 A
  5. 腎性貧血

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

プロトロンビン時間(PT)は、血液に Ca2+ と、組織トロンボプラスチンを添加し、フィブリンが析出するまでの時間を測定する検査です。イメージとしては、血を採って、試薬を加えて固まるまでの時間を測るという検査です。血液凝固系の異常を検査する方法です。基準値は、PT:10~14 秒です。

プロトロンビン時間が延長する → 血液「凝固系」の疾患 といいかえられます。そのため、貧血ではありません。○○貧血 は誤りと判断できると思われます。選択肢 1,5 は誤りです。

また、抗リン脂質抗体症候群は、種々の症状を伴う自己免疫性疾患です。血液凝固系に二次的な影響はありますが、「プロトロンビン時間が延長する疾患」とあらわされるのは不自然と判断できるのではないでしょうか。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 について
DIC では、凝固因子や血小板が枯渇するため、凝固障害がおきます。そのため、プロトロンビン時間が延長するのは妥当です。

一方、選択肢 4 について
血友病の場合、プロトロンビン時間は変わらず、活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT) が延長します。(参考 106-304305 問題文の検査値

以上より、正解は 3 です。

参考 病態・薬物治療学まとめ 代表的な血液および血液凝固検査
参考 病態・薬物治療学まとめ 播種性血管内凝固症候群(DIC)の病態生理、治療薬、注意点 

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