問 題
48歳男性。ぜん息の治療でシムビコートタービュヘイラー(ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物配合)を使用している。人間ドックの眼圧検査により、高眼圧を指摘されたため、眼科を受診した。
視力は右眼 0.4、左眼 0.5、眼圧は右 29 mmHg、左 25 mmHg、視神経乳頭陥凹が認められ、原発開放隅角緑内障と診断された。
処方1で薬物療法を行い、1ヶ月後の検査で眼圧は両眼ともに 22 mmHgに低下したが、効果不十分として処方2が追加された。
問260
服薬指導時の薬剤師の説明内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- 結膜嚢内に点眼する。
- 点眼後は瞬きしてよくなじませる。
- 夕に点眼する場合は処方1の薬剤から点眼し、1分後に処方2の薬剤を点眼する。
- 点眼後は一時的に目がかすむことがあるので、症状が回復するまで自動車の運転等はしない。
- 十分効果が得られない場合は、1回2滴まで点眼可能である。
問261
処方2の追加でも効果不十分であったため、処方1及び処方2とは作用機序が異なる薬物を処方3として追加することとなった。追加する処方3の薬物の作用機序として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- アドレナリンβ2受容体を遮断して、房水の産生を抑制する。
- プロスタノイドFP受容体を刺激して、ぶどう膜強膜からの房水流出を促進する。
- 炭酸脱水酵素を阻害して、房水の産生を抑制する。
- Rhoキナーゼ(ROCK)を阻害して、シュレム管からの房水流出を促進する。
- アドレナリン α2 受容体を遮断して、ぶどう膜強膜からの房水流出を促進する。
正解.
問260:1, 4
問261:4
解 説
問260
選択肢 1 は妥当です。
結膜は、まぶた裏側から白目表面を覆う膜です。結膜全体が嚢状なので、全体のことを結膜嚢と呼びます。点眼するのは、結膜嚢内です。
選択肢 2 ですが
点眼後瞬きをすると、ポンプのように動き、目薬が目から鼻、口へと移行してしまいます。全身作用を避けるため、できるだけ点眼後は瞬きをしないように説明します。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
種類の異なる目薬を点眼する際は、先に点眼した薬剤があふれないよう、最低 5 分間空けて点眼します。「1分後」は間隔が短すぎると考えられます。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
プリンゾラミドについての説明です。
選択肢 5 ですが
1回2滴にしても目からあふれてしまうだけです。目薬は原則、1回1滴で十分量となります。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 260 の正解は 1,4 です。
問261
選択肢 1 ですが
喘息治療中なので、β 遮断薬 は不適切です。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2,3 は それぞれ 処方1、処方2の作用機序です。
選択肢 4 は妥当です。
リパスジル(グラナテック)の作用機序です。(106-38)。
選択肢 5 ですが
α2 受容体が作用点であれば、ブリモニジン(アイファガン)などの「刺激薬」が用いられます。(101-152)。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 261 の正解は 4 です。
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