薬剤師国家試験 第107回 問216-217 過去問解説

 問 題     

38歳女性。抜け毛が気になり薬局を訪れた。医薬品ではなく、まずはサプリメントで様子をみたいと希望した。薬剤師は、体毛や皮膚を乾燥から守るため脂質成分が重要であることを説明し、ビオチンを含有するサプリメントを紹介した。

問216

脂質の生合成に関連する反応のうち、ビオチンが関与するのはどれか。1つ選べ。

  1. アセチル CoA からマロニル CoA を合成する反応
  2. アシルカルニチンをアシル CoA に変換する反応
  3. 遊離コレステロールからコレステロールエステルを合成する反応
  4. ホスファチジルコリンから脂肪酸を遊離する反応
  5. コレステロールから 7 – ヒドロキシコレステロールを合成する反応

問217

この患者がサプリメントを使用中、過剰に摂取しないように薬剤師から患者に指導すべきものはどれか。1つ選べ。

  1. 海藻類
  2. 大豆製品
  3. 生卵(卵白)
  4. 牛乳
  5. レバー

 

 

 

 

 

正解.
問216:1
問217:3

 解 説     

問216

過去類題もなく、ビオチン・・・?と、ぽかんとした問題ではなかったでしょうか。一応、以下のように推測して 当てることが求められている・・・?得意な人には、知識問題で簡単なのか・・・?

脂質の生合成に関連する反応 が選択肢として与えられているので、脂肪酸の生合成について思い出してみます。脂肪酸の生合成において、重要な中間体が マロニル CoA です。原料である アセチル CoA から、アセチル CoA カルボキシラーゼによって、マロニル CoA を生成する段階が、脂質生合成における 律速段階 でもありました。

重要な反応で、かつ、多くの制御も知られていることから、ビオチンも関与していておかしくないのでは・・・と考え、「アセチル CoA からマロニル CoA を合成する反応」という選択肢が正解と推測するといった流れが、試験本番における 1つの理想的ムーブかと思います。

以上より、問 216 の正解は 1 です。

参考 生化学まとめ 脂肪酸の生合成経路

補足ですが
この問題を過剰評価して、国家試験合格のために、ビタミンの細かい知識まで「必要以上にがんばって覚えよう」とするのは、合格から遠ざかる考え方、勉強法と思われます。(もともと栄養学などが好き などで、自然にむりなく知識が豊富になっている場合は全く別の話です。)

1:重要な知識を 確実に深くおさえる、2:知らない用語や知識は、本番で必ず出てくるが、どんな問題にも重要知識を応用できるように頭の使い方を訓練する、3:合格最低点を忘れず、満点は必要ないのだから、どうしても取れそうにないものはスルーして勉強を継続する といった点をしっかり意識して、むりせず進めましょう!

問217

こちらは基礎知識から正解を選べる、一安心できる問題です。

ビオチンといえば、アビチンービオチン結合 です。非常に強い結合として知られています。そして、この結合が関与する話題として、生の卵白を大量に長期間摂取することで、卵白に含まれるアビチンにより、ビオチンの吸収阻害が引き起こされ、欠乏症になることが知られています。そのため、卵(卵白)の過剰摂取は避けるように伝えます。

以上より、問 217 の正解は 3 です。

参考 衛生薬学まとめ 三大栄養素、ビタミン、ミネラル

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