問 題
60歳女性。背中の粉瘤(注)が感染を起こしたため皮膚科を受診し、以下の処方箋を持って薬局を訪れた。
(注) 粉瘤(アテローム):皮膚の下に袋状の嚢腫ができ、本来皮膚から剥げ落ちるはずの垢(角質)と皮膚の脂(皮脂)が、剥げ落ちずに袋の中にたまってしまってできた腫瘍の総称。
また、患者が持参したお薬手帳から、以下の薬剤を服用中であることがわかった。
問202
今回処方された医薬品と併用するにあたり、注意が必要な服用中の薬剤はどれか。1 つ選べ。
- エナラプリルマレイン酸塩錠
- L – アスパラギン酸 Ca 錠
- レバミピド錠
- クエン酸第一鉄ナトリウム錠
- プラバスタチン Na 錠
問203
セフジニルには不斉炭素があり、旋光性を示すので、旋光度測定で確認することができる。日本薬局方セフジニル (C14H13N5O5S2:395.41) の旋光度の項には、以下のように記されている。
以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 日本薬局方では、旋光度の測定には、通例、光源として重水素放電管が用いられる。
- セフジニルは右旋性である。
- 試料中に前問の併用注意薬物が共存する場合でも、セフジニル自体の比旋光度は変わらない。
- この条件下で測定した場合、日本薬局方セフジニルの旋光度の範囲は、-0.58~-0.66°である。
- 層長200mmの測定管を用いると、測定されるセフジニルの旋光度の値は1/2になる。
正解.
問202:4
問203:3, 4
解 説
問202
お薬手帳を見たら
・ACE 阻害 → 降圧
・Lーアスパラ Ca → Ca 補充、骨粗しょう 気味?
・レバミピド → 胃薬服用
・クエン酸第一鉄 → 貧血 気味?
・プラバスタチン → HMG-CoA 還元酵素阻害、高脂血症治療
とあった 60 歳女性 というケースです。
吸収における相互作用から
鉄剤とセフェム系 の併用には注意が必要と考えられます。(参考 薬剤学まとめ 薬物動態に起因する相互作用)
以上より、正解は 4 です。
問203
選択肢 1 ですが
重水素放電管は、紫外可視吸光度測定における、紫外部の光源です。旋光度の測定には、通例、ナトリウムランプが光源として用いられます。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
右旋性は(+)です。(106-8)。セフジニルの旋光度の符号が「ー」なので、左旋性です。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3,4 は妥当です。
選択肢 5 ですが
旋光度は「層長に比例」します。従って、層長が 200 mm、つまり 2 倍になれば、測定される旋光度も2倍になります。1/2 ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 3,4 です。
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