薬剤師国家試験 第107回 問188 過去問解説

 問 題     

42歳女性。最近、疲れやすいと感じることが多くなり、また徐々に食欲が低下し、何をするにも億劫でやる気が起こらなくなった。月経周期が乱れたため受診し、検査の結果、橋本病と診断された。

この患者の状態として、考えられるのはどれか。2つ選べ。

  1. 体重が著しく減少している。
  2. 頻脈が認められる。
  3. 高コレステロール血症が認められる。
  4. 血清TSH(甲状腺刺激ホルモン)値が高い。
  5. 副甲状腺ホルモンの分泌が亢進している。

 

 

 

 

 

正解.3, 4

 解 説     

診断されなかったらと思うと、問題の症例ながら、受診しようと思ってくれてよかったと一安心しました。放っておいても全然おかしくない症状ですよね。。。橋本病は、慢性甲状腺炎とも呼ばれます。甲状腺機能低下症の原因として最も多い疾患です。

選択肢 1,2 は
甲状腺機能「亢進」症における代表的症状です。甲状腺機能「低下」を示す 橋本病の患者の状態としては、不適切と考えられます。選択肢 1,2 は誤りです。

選択肢 3,4 は妥当です。
甲状腺ホルモンはコレステロールを胆汁酸へ変える働きがあるため、甲状腺ホルモンの減少の影響を受け、コレステロール代謝が抑制されることで、コレステロール値が上昇します。

また、甲状腺ホルモンが減少しているため、ホルモンを出そうとして、甲状腺刺激ホルモンの値が高くなります。

選択肢 5 ですが
「甲状腺」機能亢進なので、「副甲状腺」ホルモル分泌が亢進しているわけではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3,4 です。
類題 (本症例のその後 のような問題)106-218219
参考 病態・薬物治療学まとめ 甲状腺機能異常症の病態生理、治療薬、注意点

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