甲状腺機能異常症の病態生理、治療薬、注意点

甲状腺機能異常症(甲状腺)とは、甲状腺の機能が亢進したり低下したりすることにより引き起こされる様々な症状のことです。

甲状腺機能亢進症の代表例はバセドウ病です。バセドウ病とは、甲状腺ホルモン受容体抗体や、甲状腺刺激抗体が産生されることにより、甲状腺が常に刺激されている状態になることにより、様々な症状が引き起こされる疾患です。症状としては、甲状腺が腫れる、脈が速くなる、眼球の突出、ふるえ、急激にやせるなどです。女性に圧倒的に多い病気であるという特徴があります。

治療薬については、薬理まとめ ホルモンの分泌異常に用いられる代表的な治療薬 参照

バセドウ病治療薬であるチアマゾール、プロピルチオウラシルには、重大な副作用として無顆粒球症があります。このため、服用3ヶ月程度まで特に注意が必要です。38℃以上の高熱が出たら、投与中止し、直ちに来院を指導します。

甲状腺機能低下症の代表は、クレチン病、橋本病です。クレチン病とは、先天性の甲状腺機能不全です。新生児マス・スクリーニング対象疾患の一つであり、最も患者発見率が高い疾患です。クレチン病と診断されると、甲状腺ホルモンによる補充療法が行われます。

橋本病は、慢性甲状腺炎とも呼ばれます。甲状腺機能低下症の原因として最も多い疾患です。慢性甲状腺炎の原因は、甲状腺に対する自己抗体が産生されることにより甲状腺が破壊されることによります。女性に多く見られるという特徴があります。治療は経過観察が原則で、甲状腺機能低下による症状が出てくると、甲状腺ホルモン剤の補充療法が行われます。

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