107回薬剤師国家試験 問150解説

 問 題     

新規感染症予防のために新しいワクチンが開発された。臨床試験ではワクチン接種群では 2 万人のうち10 人が発症、プラセボ接種群では 2 万人のうち 200 人が発症し、ワクチンの有効率は 95 %であった。

この新しいワクチンの接種費用は 1 人当たり 1 万円で、その他の費用は考慮しない場合、このワクチンの増分費用効果比 (1人の発症を防ぐための費用) として、最も近い値はどれか。1 つ選べ。

  1. 1万円/人
  2. 10万円/人
  3. 20万円/人
  4. 100万円/人
  5. 200万円/人

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

解法1【大雑把な評価】

ワクチン無では、2 万人のうち 200 人発症なので、大体 100 人に1人が発症します。それがワクチン接種により、ほぼ発症しなくなるので、大雑把に考えると 100 人にワクチンを打てば、大体1人の発症を防げるといえます。1人当り1万円だから、100 × 1万円 = 100 万円/人 です。

解法2【NNT:number needed to treat を用いた計算】
絶対リスク減少が 200/20000 ー 10/20000 = 190/20000 です。絶対リスク減少の逆数が NNT です。つまり、1人の発症を防ぐために必要な治療人数(NNT)が 20000/190 です。1人当りのワクチン接種費用である 1万円を掛けて、20000/190 × 10000 ≒ 10526.3 (円/人)を得ます。最も近い値を選べば、100 万円/人 です。(参考 98-193)。

以上より、正解は 4 です。

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