107回薬剤師国家試験 問141解説

 問 題     

室内環境と健康に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ヒョウダニの死骸や排泄物は、気管支ぜん息や鼻炎などのアレルギー性疾患の原因となる。
  2. 暖房器具の不完全燃焼で生成する一酸化炭素は、一酸化窒素よりもヘモグロビンに対する親和性が高い。
  3. レジオネラ属菌が混入したエアロゾルを吸入すると、日和見感染症として肺炎を引き起こすことがある。
  4. 総揮発性有機化合物 (TVOC) の暫定目標値は、室内空気汚染物質の毒性を基に定められている。
  5. 化学物質の室内濃度指針値は、それぞれの化学物質がシックハウス症候群を引き起こす閾値に不確実係数を適用して定められている。

 

 

 

 

 

正解.1, 3

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。

選択肢 2 ですが
一酸化窒素は、ヘモグロビンと結合してニトロソヘモグロビンを生成し、血液の酸素運搬能を低下させます。(104-134)。一酸化炭素も ヘモグロビンに対する親和性が高いのですが、一酸化窒素の方がより高い親和性であることが知られています。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。

選択肢 4,5 ですが
常温常圧で空気中に容易に揮散する有機化学物質が 揮発性有機化合物(VOC)です。具体的には、ホルムアルデヒド等です。これらがシックハウス症候群の原因物質と考えられており、厚生労働省により室内濃度指針値が策定されています。(類題 102-140)。

指針値は見直されることもある、きっと大丈夫だろうという値です。つまり、シックハウス症候群が引き起こされる閾値ではありません。また、総揮発性有機化合物量(TVOC)の目標値もあるのですが、毒性学的知見から決定したものではありません。そのため、個別の VOC 指針値と、総 VOC 暫定目標値は 独立して扱うこととされています。選択肢 4,5 は共に誤りです。

以上より、正解は 1,3 です。

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