薬剤師国家試験 第107回 問138 過去問解説

 問 題     

天然及び人工放射性核種に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 食品から摂取される天然放射性核種の中で、最も量が多いのは40Kである。
  2. 40Kは、α線を放出して崩壊する。
  3. 体内に取り込まれた人工放射性核種137Csは、生体内で筋肉(全身)に集積する。
  4. 物理学的半減期が28.8年である90Srの生物学的半減期を50年とすると、実効半減期は31.2年となる。
  5. 226Raなどの天然放射性核種から放出されるα線は、β線及びγ線と比較して、体内被曝による生体損傷が小さい。

 

 

 

 

 

正解.1, 3

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
自然放射線被曝のもととなる、食品中等に含まれる 天然放射性核種の代表例 が 40K です。

選択肢 2 ですが
40K は、高エネルギー β線 & γ 線を放出します。α 線ではありません。選択肢 2 は誤りです。(衛生薬学まとめ 代表的な放射性核種の物理的性質)。

選択肢 3 は妥当です。
137Cs に関する記述です。

選択肢 4 ですが
物理学的半減期よりも 大きくなるわけはないので、選択肢 4 は誤りです。ちなみに、実行(有効)半減期を Te、物理学的半減期を Tp、生物学的半減期を Tb とした時、以下の式が成立します。(99-131)。


式に値を代入して解くと、大体 18 年が実行半減期です。

選択肢 5 ですが
α 線は、物質と極めて大きい相互作用をします。(物理化学まとめ 電離放射線の種類、物質との相互作用)。体内被曝による生体損傷が比較的大きいです。「体内被曝による生体損傷が小さい」わけではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,3 です。

コメント