薬剤師国家試験 第107回 問97 過去問解説

 問 題     

日本薬局方に記載されているハロゲン化物の定性反応 A~D に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

定性反応

A 本品の溶液に( ア )試液を加えるとき、淡黄色の沈殿を生じる。沈殿を分取し、この一部に希硝酸を加えても溶けない。また、他の一部にアンモニア水(28)を加えて振り混ぜた後、分離した液に希硝酸を加えて酸性にすると白濁する。

B 本品の溶液に( ア )試液を加えるとき、沈殿を生じる。この一部に希硝酸を、また、他の一部にアンモニア水(28)を追加してもいずれも沈殿は溶けない。

C 本品の溶液に( ア )試液を加えるとき、白色の沈殿を生じる。沈殿を分取し、この一部に希硝酸を加えても溶けない。また、他の一部に過量のアンモニア試液を加えるとき、溶ける

D 本品の溶液に塩素試液を加えるとき、黄褐色を呈する。これを二分し、この一部にクロロホルムを追加して振り混ぜるとき、クロロホルム層は黄褐色~赤褐色を呈する。また、他の一部にフェノールを追加するとき、白色の沈殿を生じる。

  1. ( ア )に入る化合物は、塩化銀である。
  2. 下線部イの白濁は臭化銀の生成による。
  3. 下線部ウの沈殿は黒紫色を呈する。
  4. 下線部エでは銀イオンが水酸化物イオンと錯イオンを形成する。
  5. 下線部オの白色の沈殿は2,4,6-トリブロモフェノールである。

 

 

 

 

 

正解.2, 5

 解 説     

記述 A について
ハロゲン化物の定性試験で 〇〇銀試液加えて沈殿といえば「硝酸銀」です。(ア)に入るのは硝酸銀です。硝酸銀を加えて淡黄色の沈殿なので、臭化物の定性反応です。できている沈殿は 臭化銀(AgBr) です。選択肢 1 は誤り、選択肢 2 は妥当です。

記述 B について
硝酸銀試液加えてできた沈殿が、希硝酸でもアンモニア水でも溶けない という記述から、ウ は ヨウ化銀(AgI)です。沈殿の色は淡黄色です。選択肢 3 は誤りです。

記述 C について
硝酸銀を加えて 白い沈殿なので、塩化銀(AgCl)です。過量のアンモニア試液を加えた時には、アンモニウムイオンと銀イオンからなる、ジアンミン銀イオン(Ag (NH3)2 +) という 錯イオン が形成されて溶けます。選択肢 4 は誤りです。

記述 D ですが
塩素試液加えて黄褐色なので、臭素 (Br2) です。フェノールに臭素でできるのは、2,4,6 – トリブロモフェノールです。選択肢 5 は妥当です。

以上より、正解は 2,5 です。

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