問 題
ア ~ ウ のグラフは、反応次数の異なる化学反応の経時変化を表したものである。これらのグラフに関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。ただし、[A] は反応物 A の濃度 (懸濁液の場合は、その時点の、A の全量を体積で割った値)、t は時間を表す。
- 傾きから反応速度定数を求められるのは ア と ウ であるが、イ では求められない。
- MRI 信号の減衰は ア のグラフと同じ変化を示す。
- 半減期がその時点での濃度によって変化しない反応は、イ のグラフを示す。
- 懸濁液中の加水分解反応で、反応速度よりも溶解速度が速い場合は、ウ のグラフを示す。
- ア~ウ の反応速度定数の次元は同じである。
正解.2, 4
解 説
横軸が全て t であることをまず確認します。そして、縦軸が ln[A] → 1 次、縦軸が 1/[A] → 2 次、縦軸が [A] → 0 次と読み解きます。これは絶対できないとだめです。また、それぞれの反応速度式も基礎知識です。以下の式を全て確実に思い出せるようにしておきましょう。
選択肢 1 ですが
反応速度式の公式からわかるように、ア ~ ウ の全てが、傾きから反応速度定数 k を求めることができます。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
選択肢 3 ですが
「半減期が濃度によって変化しない 」のは、1次反応の特徴です。従って、ア のグラフです。イ のグラフではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
選択肢 5 ですが
反応速度定数の次元は異なります。これは知らなくても、基本知識である 反応速度式から判断できると思われます。
まず、-dC/dt を 改めて 消失速度 v とおきます。すると、0次反応であれば v = k です。1次反応であれば v = kC となります。
k = … という形に式変形した時、1次反応については、両辺を C で割ることから、0次反応とは 単位が異なるものになる と 判断できるのではないでしょうか。従って、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2,4 です。
本問は 選択肢 1,3,5 を確実に誤りと判断したい問題です。
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