薬剤師国家試験 第106回 問338 過去問解説

 問 題     

75歳男性。PS1、HER2陰性、切除不能進行・再発胃がんに対して一次治療としてカペシタビン+シスプラチン併用療法を施行するも無効であった。二次治療としてイリノテカン単独の化学療法を行うことになった。

外来化学療法を受ける患者に対する薬剤師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 本剤単独療法の期待される効果について説明を行った。
  2. 薬物の溶解液に高濃度のエタノールが含まれているので車の運転は控えることを指導した。
  3. UDP-グルクロン酸転移酵素の遺伝子多型により腎機能障害の発現に違いがあることを説明した。
  4. 本剤単独療法では遅発性副作用のみ報告されているため、副作用の詳細について化学療法施行後に説明した。
  5. 本剤単独療法の重篤な副作用は下痢と骨髄抑制の報告が多いことを説明した。

 

 

 

 

 

正解.1, 5

 解 説     

PS とは、Peformance Status の略です。PS1 であれば、肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能、軽作業や座っての作業は可能です。数値が大きくなるほど、制限が大きい状態です。

選択肢 1 は妥当です。

選択肢 2 ですが
溶解液に高濃度のエタノールが含まれるのは、パクリタキセルなどです。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
UGT1A1遺伝子に変異があると、イリノテカンによる骨髄抑制が起こりやすくなることが知られています。腎機能障害の発現ではありません。選択肢 3 は誤りです。(105-238239)。

選択肢 4 ですが
遅発性だけでなく、投与中~投与 24 時間以内の早発性の下痢が知られています。また、副作用の詳細については、療法施工前に説明すべきであると考えられます。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。

以上より、正解は 1,5 です。

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