問 題
5歳男児。身長105cm、体重21kg。4日前から下痢が続いており、腹痛を伴う血便が見られた。さらに顔色が悪く、排尿がないことに母親が気づき救急病院を受診した。
母親に聴取したところ、7日前に家族で焼肉を食べに行き、両親及び兄も軽い下痢を呈していることが分かった。主治医は、血液検査結果をふまえ、溶血性尿毒症症候群(HUS)と診断した。
- 体温 37.3℃、脈拍 120/分、血圧 125/70mmHg、呼吸数 24/分。
- 尿所見:蛋白 (2+)、ケトン体 (1+)、潜血 (3+)。
問232
HUSの診断に至った血液検査値に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- クレアチニン値が基準値より高い。
- LDH値が基準値より高い。
- 血小板数が基準値より少ない。
- 間接ビリルビン値が基準値より低い。
- AST値が基準値より高い。
問233
この疾病及び病因物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 75℃、1分間以上の加熱で死滅する。
- ヒトからヒトへの感染は起こらない。
- この疾病の予防には、トキソイドワクチンの接種が推奨されている。
- 牛の肝臓には、この病因物質が存在する可能性があるため、生食用として販売・提供することは食品衛生法で禁止されている。
- 2015~2019年における病因物質別食中毒発生件数で最も多いのは、この病因物質によるものである。
正解.
問232:4
問233:1, 4
解 説
問232
溶血性尿毒症は、溶血性貧血、血小板減少、急性腎不全をともなう症候群です。病原性大腸菌 O-157 などが産生するベロ毒素が原因です。 溶血に伴い、間接ビリルビン値の上昇が見られます。
以上より、正解は 4 です。
問233
O-157 は、糞便等を介してヒトからヒトへ感染します。特にワクチンはありません。例年、食中毒で最も多いのはノロウイルスです。選択肢 2,3,5 は誤りです。
以上より、正解は 1,4 です。
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