薬剤師国家試験 第106回 問184 過去問解説

　問 題　　　　　

我が国で実用化されている薬物送達システム(DDS)に関する記述のうち、正しいのはどれか。２つ選べ。

1. ニトログリセリンのテープ剤は、投与薬物の肝初回通過効果を回避して、薬効の持続を期待できる経皮吸収型製剤である。
2. ファモチジンの口腔内崩壊錠は、薬物の苦味を抑えるため、水溶性高分子を担体とする固体分散体を利用して薬物溶出が抑えられている。
3. 直腸粘膜からのセフチゾキシムナトリウムの吸収を高めるため、カプリン酸ナトリウムを添加した坐剤が実用化されている。
4. 鼻粘膜からの薬物吸収を高めるため、付着性を有する高分子を添加したトリアムシノロンアセトニドの製剤がある。
5. プロポフォールの注射剤は、薬物が脂質二重膜に包まれることで、血中での滞留性が高まり、治療効果を発揮する。

 

 

 

 

 

　解 説　　　　　

選択肢 1 は妥当です。

選択肢 2 ですが
OD 錠は水無しでも飲めるような製剤です。むしろ普通の錠剤よりも崩壊が速いため、薬物溶出が抑えられているという記述は妥当ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
抗生物質の吸収促進剤としてカプリン酸が知られています。

選択肢 4 ですが
記述はベクロメタゾンプロピオン酸エステル噴霧剤（リノコート）に関する記述と思われます。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
プロポフォール注射剤は、脂質乳剤ですが、脂質二重膜に包まれているわけではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,3 です。