薬剤師国家試験 第106回 問152 過去問解説

 問 題     

副交感神経系に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ジスチグミンは、コリンエステラーゼを阻害して瞳孔括約筋を弛緩させる。
  2. セビメリンは、アセチルコリン M2 受容体を刺激して心収縮力を増大させる。
  3. ベタネコールは、アセチルコリン M3 受容体を刺激して胃腸蠕動運動を亢進させる。
  4. メペンゾラートは、アセチルコリン M1 受容体を選択的に刺激して胃酸分泌を抑制する。
  5. プロピベリンは、アセチルコリン M3 受容体と Ca2チャネルを遮断して膀胱排尿筋の収縮を抑制する。

 

 

 

 

 

正解.3, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
ジスチグミンはコリンエステラーゼ阻害剤です。(103-29)。コリンエステラーゼ阻害ということは、アセチルコリン分解を阻害なので、アセチルコリン刺激薬と同様の作用を示します。瞳孔に関しては「抗コリン薬で散瞳、おめめパッチリ」が基礎知識です。ここから、コリン作動薬であれば目はキュッと縮むとわかります。瞳を縮ませるのが瞳孔括約筋なので、瞳孔括約筋が収縮するはずです。「瞳孔括約筋が弛緩」ではありません。「ジスチグミン→コリンエステラーゼ、よしこれだ!」と飛びつくと間違ってしまう選択肢です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
セビメリンは M3 受容体刺激薬です。口腔乾燥治療薬です。(参考 病態・薬物治療学まとめ 自己免疫疾患病態生理、治療薬、注意点)。M2 受容体刺激薬ではありません。セビメリンの作用機序は覚えていなかった人も多いのではないかと思われます。試験本番での現実的な判断方法としては「M2 刺激だと Gi 型受容体の刺激なので、cAMP 減少方向」という点に注目します。すると、心臓において収縮抑制的に働きます。従って、「心収縮力増大」ではない、と考えて誤りと判断したい選択肢です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
◯◯コール(ベタネコール、カルバコール)は、直接型コリン作動薬です。ムスカリン様の作用を持ち、M 受容体に作用します。その結果、消化器の活動を促進させたり、瞳を縮ませたりします。(薬理学まとめ 副交感神経に作用する薬)。

選択肢 4 ですが
メペンゾラートは、抗コリン薬です。(101-160)。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
参考 101-248249

以上より、正解は 3,5 です。

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