薬剤師国家試験 第106回 問101 過去問解説

 問 題     

以下に示したビタミンの構造に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。なお、アの金属カチオンに結合している原子の電荷(形式電荷)は省略されている。

  1. アは1価の銅である。
  2. キレート錯体である。
  3. インドール骨格が含まれる。
  4. フラノース環が含まれる。
  5. aの不斉炭素の立体配置はSである。

 

 

 

 

 

正解.2, 4

 解 説     

示されたビタミンは、ビタミン B12 です。中心金属は Co です。これは基礎知識です。

選択肢 1 ですが
ア は Co です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
錯体とは、分子の中心にある元素に対し、それを取り囲むようにして非共有電子対をもつ配位子が結合したような化合物のことです。中心の元素が金属の場合、特に「金属錯体」と呼びます。錯体の中心金属に配位結合する分子やイオンのことを「配位子」といいます。金属結合に直接結合している原子のことは「ドナー原子」または「配位原子」と呼びます。複数個のドナー原子を持つ配位子を多座配位子といいます。多座配位子による金属イオンへの配位をキレートといいます。

選択肢 3 ですが
インドール骨格は、ベンゼン環とピロール環が縮合した骨格です。具体的には「ベンゼン環と隣接する5員環に N が1個含まれ、かつ、5員環側に二重結合がある環」です。ア から伸びる点線の先にあるのは、ベンゼン環とイミダゾール環が縮合した骨格です。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
フラノースは、フラン様の5員環を有する糖の総称です。構造の下端が該当します。

選択肢 5 ですが
a → の方向から見ると、ちょうど視線の先が H で、上が CH3 、右が OーPO…、左が CーNー… と見えるのがわかるのではないでしょうか。従って、優先順位は 右、左、上となり、右回りだから R です。S ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2,4 です。

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