薬剤師国家試験 第106回 問96 過去問解説

 問 題     

血中のグルコースの定量法として、次のような酵素反応を利用した方法がある。この方法では、波長340nmの吸光度からグルコースの濃度を求める。

この方法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 試料に入射する光と透過する光の強度をそれぞれI0、Iとすると吸光度はlog(I0/I)で表される。
  2. 340nmの波長の電磁波は、分子の振動状態の変化を直接引き起こす。
  3. 240nmから400nmまでの吸収スペクトルを測定する場合には、ガラス製のセルが用いられる。
  4. 340nmの吸収は、NADPHに由来する。
  5. グルコース濃度は340nmの吸光度の二乗に比例する。

 

 

 

 

 

正解.1, 4

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
吸光度は、透過度の逆数の常用対数です。透過度が、入射光を 100 とした時の、透過光の割合なので、I/I0 です。逆数は I0/I です。

選択肢 2 ですが
血中グルコースの主な定量法は、比色法と吸光度法です。吸光度で測定する場合は、NADP が NADPH になることで吸光度が増加することを利用します。(101-200201)。分子の振動状態の変化を直接引き起こすわけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
セルは基本的に石英セルが用いられます。セルには他にガラス製のセルがあります。この違いは、通過できる光の波長の範囲です。石英セルは、紫外部~可視部まで、広い波長の光を通過させます。ガラスセルは、可視部の光を主に通過させ、紫外部をあまり通過させません。(分析化学まとめ 紫外可視吸光度測定法)。200~400 nm 付近は紫外部です。従って、石英セルが妥当です。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。

選択肢 5 ですが
A = kcl、※A:吸光度、※k:比例定数 , c:濃度 , l:層長 が成り立ちます。従って、濃度は吸光度に比例します。「吸光度の二乗に比例」ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,4 です。

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