紫外可視吸光度測定法

紫外可視吸光度測定とは、波長 200~800 nm までの範囲の光が、物質により吸収される度合いを測定し、物質の確認や定量などを行うことです。

ちなみに、人の目で見える波長は、大体 380-800 nmです。200-380 nmの波長の光は、紫外線とも呼ばれます。200~800nmの光は、可視光線と、紫外線の領域であるため、紫外可視吸光度測定と呼ばれます。

光の吸収がなぜおきるかといえば、それは物質分子中における電子状態が、π→π* 遷移と呼ばれる状態変化を引き起こされるからです。その結果として分子中の電子が高エネルギー状態へと変化します。これはいいかえると光のエネルギーが分子中の電子に受け渡されたということです。つまり光が吸収されたといえます。

測定装置のイメージは以下のようになります。

光源としては、紫外部には、重水素放電管が用いられます。セルは基本的に石英セルが用いられます。セルには他にガラス製のセルがあります。この違いは、通過できる光の波長の範囲です。石英セルは、紫外部~可視部まで、広い波長の光を通過させます。ガラスセルは、可視部の光を主に通過させ、紫外部をあまり通過させません。

可視部の光源には、タングステンランプや、ハロゲンタングステンランプが用いられます。蛍光灯のようなランプが用いられるということです。

吸光度測定は実際には、DNAやタンパク質の測定などに用いられます。例えば、大腸菌のプラスミド DNA を、ミニプレップ法により分離した時に、ちゃんと DNA が含まれているかを見る時に吸光度測定を行ったりします。これは、DNA の吸収波長のピークが約 260 nmであることを利用しています。

測定の結果は、横軸に波長、縦軸に吸光度をとったグラフで表されます。吸光度とは、透過度の逆数の常用対数です。このフレーズは丸暗記するとよいです。透過度とは、入射光に対する透過光の強さの割合です。吸光度は、セルの層の長さ、及び試料の濃度に比例します。これを式で表すと以下のようになります。これは Lambert-Beer (ランバートーベール)の法則と呼ばれます。

A = kcl
※A:吸光度
※k:比例定数 , c:濃度 , l:層長

紫外可視吸収スペクトルの対象となるのは、C=C、C=O を共役した形で持つ化合物が大多数です。これらの部分構造を発色団と呼びます。また、発色団に結合して吸収波長や強度に影響を与える置換基を助色団と呼びます。助色団としては、ーOH、ーNH2、ーSH などが知られています。

一般的に、共役系が延長すると、吸収極大波長は長波長側へ移動します。これを深色効果、もしくはレッドシフトと呼びます。逆に短波長側に移動することはブルーシフトと呼ばれます。

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