問 題
日本薬局方において、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルの定量法は以下のように規定されている(一部省略)。この定量法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
定量法
本品及びヒドロコルチゾンコハク酸エステル標準品を乾燥し、その①約50mgずつを精密に量り、それぞれをメタノールに溶かし、正確に50mLとする。この液5mLずつを正確に量り、それぞれに内標準溶液5mLを正確に加えた後、メタノールを加えて50mLとし、試料溶液及び標準溶液とする。
試料溶液及び標準溶液10μLにつき、次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行い、内標準物質のピーク面積に対するヒドロコルチゾンコハク酸エステルのピーク面積の比QT及びQSを求める。
ヒドロコルチゾンコハク酸エステル(C25H34O8)の量(mg)=[ ア ]
- MS:ヒドロコルチゾンコハク酸エステル標準品の秤取量(mg)
- 内標準溶液:パラオキシ安息香酸ブチルのメタノール溶液(1→2500)
試験条件
- ②検出器:紫外吸光光度計(測定波長:254nm)
- カラム:内径4mm、長さ30cmのステンレス管に10μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充塡する。
- カラム温度:25℃付近の一定温度
- ③移動相:pH4.0の酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液/アセトニトリル混液(3:2)
- 流量:ヒドロコルチゾンコハク酸エステルの保持時間が約5分になるように調整する。
システム適合性
- システムの性能:標準溶液10μLにつき、上記の条件で操作するとき、ヒドロコルチゾンコハク酸エステル、内標準物質の順に溶出し、その[ イ ]は9以上である。
- システムの再現性:略
- 下線部①のように「約」を付けたものは、記載された量の±3%の範囲を意味する。
- [ ア ]に入るのは、MS×QT/QSである。
- 下線部②の検出に用いる光源は、タングステンランプである。
- 下線部③の移動相中のアセトニトリルの割合を増やすと、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルの保持時間は短くなる。
- [ イ ]に入るのは、「理論段数」である。
解 説
選択肢 1 ですが
「約」とは、±10 % の範囲のことです。(102-96)。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
選択肢 3 ですが
紫外部の光源は、重水素放電管です。(分析化学まとめ 紫外可視吸光度測定法)。タングステンランプは、可視部の光源として用いられます。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
緩衝液はほぼ水のようなものなので、アセトニトリルの割合が増えれば、相対的に疎水性があがります。「移動相の疎水性が上昇」と読み替えます。一方、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルは「エステル」なので疎水性です。移動相の疎水性上昇に伴い、溶けやすく、移動しやすくなるような物質です。従って、保持時間は短くなります。
選択肢 5 ですが
103-99 などで既出なので、なんとなく見覚えがあると判断できるか・・・?という選択肢です。また、理論段数について関係式(102-98等) は、復元できなくても、見たら判断できるのは基礎知識の範囲です。そこで「理論段数はたしか 5.54 ×・・・という形だったはず」 → 「9以上という、きれいな整数表現はおかしいのでは」と考えて判断するのが一つの方法です。イ に入るのは「分離度」です。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2,4 です。
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