問 題
68歳男性、肝硬変。低タンパク血症によると考えられる難治性の腹水が認められたため、高張アルブミン製剤(献血アルブミン20%静注)による治療が開始された。
初回投与前の血清アルブミン濃度は1.9g/dLであり、投与後の目標血清アルブミン濃度は3.5g/dLとされた。なお、この薬剤の容器には「特生物」の表示がある。
問316
この薬剤の使用に関する記述のうち、適切でないのはどれか。1つ選べ。
- 過剰に蓄積した血管内水分の血漿膠質浸透圧を維持する目的で使用する。
- 感染症のリスクについて患者に説明する。
- 細菌が増殖しやすいので、残液は適切に廃棄する。
- 血清アルブミン濃度が目標値に達したかモニターする。
- できるだけ短期間の投与にとどめる。
問317
この薬剤を取り扱う薬剤師が行わなければならないこととして、適切なのはどれか。2つ選べ。
- 鍵のかかる場所で保管する。
- 保管場所に白地に赤枠、赤字をもって「特生物」の表示を行う。
- 使用した患者の氏名及び住所、使用した薬剤の名称及び製造番号又は製造記号、使用年月日、その他必要な事項を記録する。
- 使用に関する記録を、その使用した日から少なくとも10年間保存する。
- 使用による感染症の発生について、危害の発生を防止するために必要があると認めるときは、その旨を厚生労働大臣に報告する。
正解.
問316:1
問317:3, 5
解 説
問316
選択肢 1 ですが
血液低タンパクなので、相対的に血管外が高浸透圧なので、水分が血管外へと移動しています。そこで血管内浸透圧を高くし、血管内に水を移動させるための使用です。「過剰に蓄積した血管内水分」ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2,5 は適切です。
ヒト血液原料のため、感染リスクを完全に排除できません。必要最小限の使用にとどめることとされています。
選択肢 3,4 は妥当な記述です。
以上より、正解は 1 です。
問317
「特生物」は、特定生物由来製品の略です。生物由来製品のうち、販売・授与した後において、保健衛生上の危害の発生や拡大を防止するための措置を講ずることが必要なものであり、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものを、特定生物由来製品と呼びます。
特定生物由来製品には、製造番号、記号に加え、ヒトの血液が原料の時は採血国名及び、採血方法(献血など)の記載が必要です。生物由来製品及び特定生物由来製品の表示方法は、白地に黒枠黒字です。
選択肢 1 ですが
保管に鍵は不要です。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
白地に「黒枠黒字」です。「赤枠赤字」ではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当な記述です。
選択肢 4 ですが
医療機関での使用記録は 20 年間保存です。10 年間ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。(97-88)
選択肢 5 は妥当な記述です。
以上より、正解は 3,5 です。
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